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変化する 11
もどかしい二人のやり取りに悶々としていると、
「……こんな所で、何をしているんだ。お前達……」
がっかりと項垂れていた蓮達の背後から、不意に不審な声が響いてきた。
恐る恐る振り返るとそこには、呆れたような顔をした凛が立っていて、それと同時に凛の声に気付いた弓弦達が振り向く。
「あ、貴方達っ……いつから……っ」
「大丈夫だよ。草薙。お前が案外ヘタレだったなんて、誰にも言わないから」
「へへっ、ごめんね。ちょっと通りかかっただけなの」
驚いて目を見開き、口をパクパクとさせる弓弦に向かって、東海と美月がニヤリと笑う。
「~~~ッ」
まさか聞かれていたなんて思って無かったのだろう。羞恥で首からジワジワと赤くなっていく弓弦がなんだか新鮮だった。
「みんな。居たんなら声掛けてくれればよかったのに……」
「ゆきりん……。鈍すぎじゃん?」
「え? えっ? 何が?」
雪之丞は、キョトンとした表情をして首を傾げ、ナギが盛大に溜息を吐いた。
「本気で気付いてないわけ?」
「ちょっと! 小鳥遊さん! 何を言うつもりですかっ!」
ナギの言葉に被せるように、慌てて弓弦が彼の口を塞ぐ。
「……応援してるよ。草薙君」
「くっ……わ、私は別に……っ」
「え? なに? 何の話?」
笑ってしまいそうになるのを堪えながら蓮ががからかう様に笑えば、弓弦はバツが悪そうに視線を逸らす。
本当にわかっていない様子の雪之丞と、状況が全く読めていない凛だけが不思議そうな顔をしてその様子を見ていた。
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