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変化する 16

「今行くって! たく、なんでああもせっかちなんだよ……」 ブツブツ文句を言いながら満更でもなさそうな表情をして、東海は面倒くさそうにそう呟く。 「なんだ、デートか?」 「はぁ!? ちげーし!! ただちょっと買い物に付き合ってやるだけだから! 変な勘違いすんなよ! オッサン!!」 ムキになって否定すると、プイっと顔を背けて美月の元へ走って行く。そんな彼の耳がわずかに赤く染まっていた事に気付いて、二人の背中を見つめながら、思わず笑みを浮かべた。 「……青春だなぁ」 撮影が進むにつれて、少しずつみんなの関係性も変わってきているように思う。 それはきっと、とても喜ばしい事でみんながそれぞれ少しずつ前に進み始めている証拠だ。 雪之丞も前に進めているといいのだけれど。 彼は今、何を思い、何を考えているのだろうか? ふと、先程の光景が頭をよぎり、微笑ましいような、少し寂しいような気持ちが胸に広がる。 雪之丞に弓弦のことをどう考えているかなんて、自分が聞いてはいけない気がする。 放って置くのが一番いいのはわかっているが、それでもやはり知りたいとも思ってしまう。 (あの二人も、上手く行くと良いんだけどな……) 2人が上手くいくことを願うのは、流石に都合が良すぎるだろうか? そんなことを考えながら、蓮はゆっくりと立ち上がると部屋へと向かった。

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