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すれ違う 2

冬休みに入ったばかりの公園には多くの親子連れが楽しげに遊んでいる。 中には先日発売されたばかりのライオンソードや、ブルーが使用するタイガースピア等を手に戦いごっこで盛り上がっている子供達を微笑ましい気持ちで眺めながら走っていると、反対側からママチャリを押してこちらに向かって来る人影が目に入る。 その自転車の後ろには3~4歳位の子供が乗っていて、父親と思わしき人物と楽しそうに会話をしながらゆっくりと歩いてくるのが見えた。 「……あれ?」 帽子をかぶってはいるものの、見覚えのある顔に思わず足を止める。 一体、どういう事だろう? 「……ナギ?」 半信半疑でその名を呼べば、声に反応し振り向いた彼が驚いたように目を丸くした。 「えっ? お兄さん!?」 「なんで、此処に? いや、その前にその子は?」 確かまだ彼は20歳で、結婚はおろか子供がいる年齢では無かったはずだ。 それに、そんな話は聞いたことが無い。 「……もしかして、隠し子?」 「はぁっ!? ち、違うし! そんなわけ無いじゃん! 馬鹿っ!」 疑問に思った事を口にすれば、彼は真っ赤になって慌ててそれを否定した。 それから、コホンと咳払いをして落ち着くと、自転車を脇に止めナギの背後に隠れる様にしてしがみ付いている男の子を抱え上げる。 「この子は、俺の年の離れた弟! 変な事言うのやめてよ。全く……」 「お、弟……?」 「そう。母さんが、クリスマスは父さんとどうしても二人っきりで過ごしたいからって、前々から預かる予定だったんだよ」 「あー、だから用事があるって……」 なるほど。そういうことだったのか。 自分以外の誰かを優先するなんてもしかして……なんて、ちょっとでも思ってしまった自分が情けない。そう言われてよくよく子供を見てみれば、何処となく目元の雰囲気などは似ている気もする。 「ナギ兄ちゃん、このおじさん誰?」 「お、おじ……っ」 ナギの腕の中で、不安そうに眉を寄せながら指をさされて、蓮は思わず顔を引き攣らせた。 確かに、自分は子供たちにとってオジサンと言われる年齢だけども! 面と向かって指をさされると辛いものが込み上げてくる。

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