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初対面 9

「あ、そう言えば……」 「うん?」 「どうせ君に会えるとわかっていたら、プレゼント持ってきたのに……。ごめん。今度あげるから」 申し訳なさそうにそう言えば、ナギはそんな事かと笑った。 「プレゼントなんて、要らない。こうやってお兄さんと一緒にクリスマスを迎えることが出来ただけで幸せだよ、俺」 言いながら自分の胸に擦り寄って来るナギに、蓮は思わず胸が熱くなった。 「~~ッ。本当に、キミは……僕を夢中にさせるのが上手いね」 「……嫌いになった?」 上目遣いで不安げな表情で尋ねて来るなんて反則だ。 「まさか! もっと夢中にさせられて困ってるよ」 そっと頬に手をあてて、鼻先に唇を押し付ければナギは擽ったそうに笑った。 「俺はずぅっと前から、お兄さんに夢中だけどね」 「またお兄さん呼びに戻ってる」 「だって、やっぱり恥ずかしいよ……」 また顔を真っ赤にして、もぞもぞと身を捻るナギの身体をきつく抱きしめて、額にちゅっとキスを落とす。顔を上げたナギと目が合うと互いに引き合うみたいに唇を寄せ合った。 部屋中があっという間に甘い空気で満たされていく。 「ねぇ、もう一回したい」 「え……えっと……炬燵じゃ、やだ」 モジモジと恥ずかしそうに言いながら胸元に顔を埋める姿がとても可愛らしくて堪らない。 「じゃぁ、ナギのベッド何処か教えて?」 耳元でそっと囁くと、耳まで真っ赤にしたナギがコクリと頷く。あぁ、どうしよう。今夜は寝かせてあげられないかもしれない。 そんな事を考えながらナギの身体を抱き上げて、蓮は寝室に足を向けたのだった。

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