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初対面 11

下半身丸出しで走る姿ナギの姿は中々シュールだ。だが、笑い事じゃない。 海斗が何処まで見ていたかはわからないが、子供は悪気なく何でも話すので油断ならない。 蓮はとりあえず布団から抜け出すと、床に脱ぎ捨てられていたズボンを穿いてそっとベッドから降りた。 「はぁ、間に合ったぁ」 「……お帰り、よかったね」 「良くないよ。海斗になんでパンツ履いてないのかって聞かれて、誤魔化すの大変だったんだから」 「ははっ、それは……うん、ごめんね?」 ナギはふてくされたように唇を尖らせ、蓮は思わずクスクスと笑みを零した。笑い事じゃない! と言いつつ、目が合うとどちらかともなく噴き出してしまう。 「ちなみに、なんて答えたんだい?」 「っ、教えないっ! とにかく! お兄さんヤり過ぎなんだよ……っ」 「とか何とか言って、ナギもノリノリだったくせに」 「うるさいなぁ。だって、久しぶりだったし……」 ごにょごにょと言い訳をしたが、途中で恥ずかしくなったのか言葉尻を濁す。 「兄ちゃん、お腹すいたー」 「ハイハイ。ちょっと待って! 今行くからっ」 リビングから海斗の急かすような声が響いて、ナギは慌てて返事を返すと蓮の方を振り返った。 「えっと、じゃぁ俺……先に行ってるね」 ちゅっと額にキスされたと思うと、ナギはそそくさと寝室を出て行ってしまう。 自分の周りには小さい子はいないし、幼い頃イチャ付いていた両親の記憶なんてほとんど残っていないけれど、今のは結構いいな、と蓮は顔がにやけてしまうのを止められなかった。

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