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小さな亀裂 3
「あ、見ました。凄い反響ですよね。って言うかお弁当に対するコメント凄く来てて、ボクびっくりしたよ」
「あぁ、美月の放送事故レベルの弁当な」
「失礼ね! 練習すればもっと上手くなるんだからっ! 多分っ」
「多分かよ」
雪之丞が渡りに船とばかりに慌てて美月をフォローし、東海が茶々を入れる。
弓弦はまだ何か言いたげな顔をしていたが、口を閉ざしてそっぽを向いてしまった。
「ねぇ、クリスマスに何かあったのかな?」
「さぁ?」
ナギの問いに蓮は肩を竦めて答える。弓弦はもっとクールで冷静なタイプだと思っていたのだが、今日はやけに突っかかって来る気がする。
原因があるとすれば、雪之丞との関係だが雪之丞自体には何も変りはないので、弓弦と何かあったのかもしれないが、それは部外者である蓮には知る由もなかった。
「まぁ、そのうちわかるんじゃないかな?」
「楽観的だなぁ」
なんて話をしながら歩いていると反対側の通路から、いかついライダースーツに身を包んだ莉音と、黒のパンツスーツに身を包んだ派手な女性が連れ立って歩いて来るのが見えた。
「あらぁ、ぞろぞろとお揃いで楽しそうね。幼稚園児の遠足みたい」
蓮たちの姿を見つけ、莉音の横に居る女が意地の悪い笑みを浮かべながらクスクスとおかしそうに笑う。
「……莉音……」
「ハハッ、また会ったな。御堂蓮。この間のラブホんとき以来か」
「……らぶほ?」
東海や弓弦、美月の引いている視線が痛い。
蓮は誤魔化すように咳払いをすると、話題を逸らすかのように莉音の元へと歩み寄った。
「コホン! ……プライベートの事はどうでもいいだろ! そんな事より、君たちも撮影だったのか」
「まぁな。撮影も順調だし視聴率だって言い感じに上がって来てる。お前らみたいにチマチマ変な戦略練らなくてもいい分楽だわ~」
「……なんか一々ムカつく野郎だな」
小馬鹿にしたような莉音の態度に場の空気が一気に凍り付く。
東海がイラッとした様に眉を寄せると、蓮と美月で慌てて取り成した。
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