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トラブル 6
「一先ず、撤収しようか……。あまり迂闊な事は喋らない方がいい」
「うん……そうだね」
蓮の提案に頷きつつも、不安感は拭えない。皆の表情にも一様に影が落ちている。
映像のストックは2週分ほど残っていたはずだ。データを消されたりしない限りは放送日に間に合わないなんてことはないだろう。
「ごめん、みんな。僕のせいで……」
「お兄さんのせいじゃないって! 悪いのは犯人だし!」
「ナギ……ありがとう。でも……」
流石にこうもトラブル続きだと、流石に堪える。
犯人、もしくは共犯者が今までずっと一緒にいたのかと思うとゾッとしてしまう。
「あーぁ、ほんっと迷惑! こんなに人に恨まれるってどんだけだよって感じ」
「ち、ちょっとはるみん! 何言って……」
「だってそうだろ? 美月だって、今回の仕事を足がかりにしていろんな仕事したいって言ってたじゃん。まぁ、草薙くんは既に超有名人だから、痛くも痒くもないんだろうけどさ、それでも多少は草薙弓弦ってネームブランドに傷がつくだろうし?
ナギだって、有名になりたいんだろ? このトラブルって、結構マイナスじゃねぇの?」
いつもの調子で、さらりと毒を吐く東海だったが、言っていることは尤もで正論でもある。
蓮は、無言で唇を噛み締めた。
「そりゃ、俺だって、有名になりたいよ。でも、だからってお兄さんのこと迷惑だなんて……」
「本当かよ。 まぁ、アンタはそうかもな。この人のこと大好きだし? 」
「そっ、それは……っ」
顔を真っ赤にして慌てふためくナギに、東海はフンと鼻を鳴らして肩をすくめた。
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