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トラブル 7
「この際だから言うけど、オレ……。オッサンの事初めて会ったときから大っきらいだったんだ」
「……っ」
「はるみん! ち、ちょっと!」
「無駄に顔だけは良くて、華があって、ブランクあるとか言ってる癖にいきなりの主役抜擢。しかも、あの凛さんが兄だろ? 演技も下手くそなぽっと出のお坊ちゃんかと思えば、ムカつく位演技は上手いし、意外と紳士的なとこもあるし。腹立つんだよ」
これは褒められているのだろうか、けなしているのだろうか? 判断に迷う。
「俺等がどんだけ努力したって、どんなに頑張ったって、アンタは一瞬であっさり追い抜いていく。そういうところが嫌いだった。……でも、今は少し違う」
東海は真っ直ぐな目で蓮を見つめた。その強い視線に射竦められそうになる。
「凛さんが言ってたんだ。 アイツは天才だって。一度見た台本は全部頭ん中に入ってるし、言わなくても感覚で演じ分けられる。凛さん曰く、とんでもない逸材なんだって。ただ、何でもできる分、思考が中学生くらいで止まってるから敵も多いんだって。最初は、そんなわけ無いだろって思ってたんだけど……」
そこで一度言葉を切り、東海は言いにくそうに頭をかいた。
「ずっと一緒に居たらわかる事ってあるじゃん? 凛さんの言うとうり、ほんっとガキみたいだなって思う所も多々あるし、コイツどうしようもねぇなって思う事もあるけど……でも、現場に入ってアンタが台本読んでんの見たことないし、稽古の時とか撮影に対しては割と真摯に役と向き合ってる。演技してる時のアンタは、確かに凄い。それは認める」
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