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トラブル 8
「はるみん……」
「だから! はるみんって呼ぶなつってんのに! って、そうじゃなくってさ……。なんっつーか……飄々とこなしてへらへらしてる分、色々と誤解されやすいんだろうなって。だからさ、えぇっと……何が言いたいかっつーと……要するに、アンタの良さに気付けない誰かの恨みをかって、嫌がらせをされてるんだと思う。流石にこの一件はやり過ぎだとは思うけどさ」
東海はそこまで一気に言うと、深く息を吐き出した。嫌味な言い方ではあるが、これは彼なりの精一杯の励ましの言葉なのだろう。
「なんだ、もー……いきなり不穏な事言い出すから、ドキドキしちゃったじゃない」
「はるみん、いい性格してるよね。俺も、もう付き合ってられるか!ってバラバラになっちゃうのかと思った」
「あのなぁ! オレがいつそんな事言ったよ!?」
「言ってたじゃない。いい迷惑、だとか不安を煽る事ばっかり」
美月の言葉にナギも雪之丞もウンウンと頷く。
「ボ、ボクも東海が呆れて降りるって言い出すのかと思った」
「うっ、棗さんまで……」
普段大人しい雪之丞にまでそう言われて、東海は言葉を詰まらせた。
「なんだかんだ言って、はるみんってば蓮さんの事好きでしょ? よく、あの動きは凄かったとか、どうやったらあんなキレがでるんだ? って、撮影した蓮さんの映像ガン見しながらめちゃくちゃ言ってるし」
「なっ、馬鹿女! 何言ってっ!」
「へぇ~……そうなんだ。ふぅん、それは知らなかったな」
蓮はにやにやと悪い笑みを浮かべながら、東海の肩をがっしりと掴んだ。秘密を暴露されたのがよほど腹が立ったのか、東海は首からジワジワと赤くなりながら掴んでいた手を振り払らいバッと距離を取る。
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