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トラブル 9

「あぁ、そうだよ! 悪いかよ! でも、だから余計に腹立つだろ! いいモン沢山持ってんのにこんなトコでわけわかんねぇ卑怯な奴らに足を引っ張られてさ、なんで怒らないんだよ……。なんでそんなに落ち着いてられる? 普通、もっと焦ったり怒ったりするもんだろ!?」 ヤケになって捲し立てる東海に、蓮はふっ……と表情を和らげた。 普段あまり感情表現が豊かとは言えない彼にしては少し珍しい表情だ。 「ありがとう。はるみん、普段あまり話してくれないから、そんな事思ってたなんて知らなかったよ」 微笑みと共にそう告げられて、東海は更に顔を赤く染める。何か言いたげに口をパクパクとさせながらも言葉にならないようで、その様子を一同がニヤニヤと見つめれば恥ずかしそうにそっぽを向いてしまった。 そして照れ隠しのように小さく舌打ちする。素直じゃない所が彼らしいなぁと思う。 「でも、多分だけど……。今ここで僕が取り乱したり困った顔をしたり、騒ぎたてたらきっと犯人の思うツボだと思うんだ。確かに一旦引退した身だから僕の事を快く思っていない人が何人かいるのも知ってる。昔はもっと尖ってたから敵も多かったしね。正直、心当たりがあり過ぎて犯人の検討も付かないけど、僕は獅子レッドを降りるつもりはないし。やっぱり、この仕事が……ここに居るメンバーが大好きだから……誰がどれだけ邪魔をしてきても、僕は役を降りる気はないよ。流石に、他のメンバーに白羽の矢が立ってたらキレてたかもしれないけど」 真っ直ぐ前を見つめ、ハッキリとそう告げた蓮に、東海もナギ達も黙り込んだ。 「でも、これからどうするんです? 照明が降って来るとか流石に刑事事件案件だと思うんですが」 弓弦の一言に一同は再びうーんと口を閉ざした。

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