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トラブル 11
「ちょ、ちょっと待ってよ! 二人は確かに傍から見てもイチャイチャしてたけど……撮られてたって事?」
「あぁ」
凛の言葉に重い沈黙が下りる。
「……どうして……俺ら別に悪い事なんて何もしてないのに」
「ナギ。 キミはどうしたって有名人だから……、ごめんね。僕がもっと注意深く周りを見ていればこんな事にならなかったんだ」
悔しそうに歯噛みし、拳を震わせて俯くナギの肩を抱こうとしたが、触れるか触れないかというところでその手を降ろした。
ナギの言うとうり、確かに自分達は何も悪い事はしていないし、出来る事なら大きな声で世間に自慢の恋人なんだと公表したいとも思う。
だが、現実はそんな甘い物じゃない。
まだまだ世間は同性愛については厳しい一面を持っているし、芸能人のゴシップネタなんて普通の男女でも炎上する世の中だ。これが出回れば、ナギと蓮は世間のバッシングに晒される事になる。
凛もそれは分かっているのだろう。その拳が怒りか、悲しみか、悔しさか……固く握り締められている。
「とにかく、対応を考えるから暫く撮影は中断。それと、小鳥遊君はしばらく自宅謹慎。蓮は今日から俺の家に泊まる事」
「は!? ちょっと待ってよ兄さん! なんでナギだけが自宅謹慎なんだ!」
凛の言葉に納得いかないと蓮が抗議の声をあげる。その表情は今まで見た事がないほどに悲痛に歪んでいた。
「当然の措置だと思うが? 言っておくがお前も俺の家から一歩も出ることは許さない」
「そんなの……横暴じゃないか」
「横暴? あれほど周りには気を付けろと言っていたのに、こんな記事を書かれたお前には言われたくないな」
凛の口調は冷たかった。珍しく怒っているのか、その目は鋭く蓮を射抜いている。その視線に一瞬気圧されるも、グッと拳を握って負けじと睨み返した。
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