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取引 5

「ごめん。そこまで気が回らなかったんだ。兄さんがツテを頼って例の記事の発表を何とか遅らせてくれてはいるけど……、それも長くはもたないから早めに対応策を考えたくてさ……」 『……別に、隠す事ないのに』 「馬鹿言わないでくれ。キミはこれから有名になれる素質を持ってるんだ。こんなトコで変なレッテルを付けさせたくない! 公表するのは簡単だけど、これから先の芸能人生、いつかきっとその事実が足枷になる時が来る。そんなの……僕が嫌なんだよ」 それは本心だった。だからこそ簡単に済ませられる問題じゃない。ナギにはこれから先もずっと笑っていて欲しい。 だけど、事態は急を要する。もしバレたら……自分はどうなっても構わないが、ナギの事を考えると慎重にならざるを得ないだろう。それに、これが公になったら他の仲間達にも火の粉が飛んでしまう可能性だって充分にあり得る。 折角、いい雰囲気になりかけている雪之丞達の事を思えば、今ここで鎮静化させておかなければいけないと言うのは明白だ。 「だから、その記事が世に出る前に絶対に何とかして見せるから。ナギも協力してくれ」 「……うん……。わかった、でも具体的に俺は何をすればいい……?」 渋々だが、納得してくれたらしいナギがそう尋ねて来るので、蓮はさっき東雲から得た情報を包み隠さず彼に話した。 「……せめて、MISA達のネタになりそうなスクープ写真か何かがあればいいんだけど」 『そっか、俺も過去の写真フォルダから漁ってみるよ。あ、あとさ……使えるかはわからないんだけど……、ウチのマネージャーから聞いた話なんだけどさ、あの二人一緒がいるとき、子役の子を突き飛ばしたり、罵声を浴びせたりって言うのが凄いんだって』 「は!? なんだよ、それ。大問題じゃないか」 『大人が居ない時にするみたいでさ、証拠が無いみたいなんだ』 子供番組の主役を張っている二人が陰でそんな事をしているのがもし公になったら、番組の存続も危ういのではないだろうか?

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