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第6話 初心者同士

 桜庭は少しとまどいながら、朝比奈の首筋に唇を落とし、それから平らな胸についている突起に触れてみる。  いつもと同じように、というなら順番としてはまずそこだ。  小さな乳首に舌を這わせると、ぴくり、と朝比奈の肩が震える。 「女みたいに演技する必要はないぞ」 「してない。俺はそこ、感じるから」  そういうものなのか、と桜庭がさらに乳首を強く吸うと、朝比奈はぎゅっと桜庭の背中を抱きしめて甘いため息をもらした。  執拗に丁寧に乳首を弄んでやると、朝比奈の下半身が高ぶっているのが目にとまる。  なるほどな……男同士の場合、体の変化で嘘はつけないというわけか。  乳首を舐め回しながら、初めて手にする他人のモノ。  それは桜庭のモノよりは少し小さめで、可愛らしく感じた。  想像していたような嫌悪感はない。  滴る蜜を塗り込めるように、先端を指でなぞると朝比奈が小さく声を漏らした。  気持ちよさそうな顔を盗み見て、桜庭は小さく笑みを浮かべる。  さっきさんざんやられたからな。  ここはお返ししてやろう。  朝比奈は耐えるように手の甲を口に当てて声を出さないようにしていたが、桜庭が執拗に下半身を刺激するとついに小さくあえぎ声をあげた。 「も……もういい……総一郎……イキそう」 「イケばいいだろう」 「まだ……あとで」  あとで?と桜庭が手を止めると、朝比奈は体を起こしてベッドサイドの引き出しをごそごそと探った。  中からコンドームとローションの瓶を取り出し、コンドームをひとつ桜庭に手渡す。 「つけろよ。生じゃ気持ち悪いだろ? 俺は平気だけど」  桜庭はそれを受け取って訝しげな表情になる。  生……?  気持ち悪い……? 「ちょっと向こう向いてろよ。見てると萎えるぞ」 「何をするつもりだ」 「こっちはいろいろ準備あるんだよ。女じゃないんだから、そのまま挿れるわけにいかないんだ」  挿れる? と桜庭が思わず振り返ると、朝比奈は尻の狭間に手をのばして、苦痛の表情を浮かべていた。  話にはよく聞くが、本当にソコに挿れるものなのか、と桜庭は動揺する。 「見るなって。俺だって少しは恥ずかしいんだからさ」  バツが悪そうな声で言い訳する朝比奈に、ここで恥をかかせてはいけないのだろう。  しかし本当にできるのだろうか、と不安になりながら桜庭はとりあえずコンドームをつけた。  気持ち悪いとかいう以前に、それは礼儀というものだろう。 「いいぜ、もう」  朝比奈が足を開いて誘う。  位置を確認するためにのぞき込むと、小さなつぼみから透明なローションが滴っている。 「あんまり見るなよ……見なきゃ女とそう変わりないんだから」  朝比奈は赤い顔をして、ふてくされたようにそっぽを向いた。  しかし見るな、と言われてもそんなことを言っている場合じゃない。  こんな狭いところに、正確に突っ込まないといけないのだ。 「本当に大丈夫なのか?」  高ぶった下半身を入り口に押しつけて、桜庭は念を押すように聞いた。 「大丈夫だろ、みんなやってんだから」  朝比奈の無理に浮かべた笑顔には、不安の色が浮かんでいる。  相手が初心者じゃあ、怖いのかもしれないな、と桜庭は感じた。  ぐっと力を入れて突っ込んでみると、朝比奈は小さく悲鳴をあげて苦痛の表情になった。  狭い……  とてもじゃないけれど、力で押し込めるものではなさそうだ。  先だけ突っ込んだ状態で、桜庭は途方に暮れそうになる。  明らかに緊張した朝比奈の体が、小さく震えている。 「お前、本当にやったことあるのか」 「実を言うとこっちはあんまり。いつも突っ込む方だから」  朝比奈は苦笑いを浮かべている。 「初めてなのか」 「まあ……ほぼ」 「なんで、こんな無茶なことを」 「練習してみたかったのさ。どっちもできた方が本当に好きな人ができた時にいいだろう?」 「初心者同士って訳か……」  桜庭はため息をつく。  てっきり朝比奈は慣れているのかと思えば、そうではなかったらしい。  とにかく前へ進むしかない。  朝比奈の膝を深く折り曲げさせるように、体重をかけておおいかぶさる。 「陸、もう少し力を抜け」 「抜いてるつもりなんだけど……」  強行突破の意志を固めると、朝比奈はますます体を緊張させた。 「悲鳴、あげるなよ」  桜庭は朝比奈の口をふさぐために、唇を重ねる。  ビクっと驚いたように目を見開いた朝比奈は、次の瞬間夢中で舌を絡めてきた。  固くて熱い桜庭の下半身が、朝比奈の体を奥まで貫く。 「んんっ……!!」  悶えて逃げ出そうとする朝比奈を、強引に押さえつけて、ずぶり、と二、三度抜き差しする。 「総一郎……」  唇を離すと、朝比奈は涙目になっている。 「痛いか」 「平気」  キスをねだる朝比奈の気を紛らせてやるように、桜庭は唇を重ねる。  絶対に苦痛だと思うのだが、朝比奈は嬉しそうだ。  好きな男に抱かれるために、こんな練習までしようという気持ちが、桜庭には理解できない。  採点してやるなどと言っていたが、痛いだけのセックスに点数などつくものか。  桜庭は動きを止めて、朝比奈のモノに手をのばしてやる。  苦痛だけではないのか、萎えてはいないそれをゆるやかに刺激してやると、朝比奈の顔に官能の表情が広がる。

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