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第15話 貪り合うように

「ああ、すごいよ……そう、いちろ……また、また……ああっ」 「ココでイケるか?」  ぐりぐりと回すように中を擦られて、朝比奈の体が魚のように痙攣する。 「ひっ、やあっ……あっ、ああっ」  狂ったように悶える朝比奈を抱きしめて、桜庭は執拗に抉り続ける。 「も、ダメっ、や、やめてっ、ああっ、あああん」  男の泣き顔がなぜこんなに扇情的なのだろう、と桜庭は激しく攻めながら朝比奈の顔をじっと見ている。  あれから確かに、もう一度抱きたいと思っていた。  この顔が見たいと、忘れられなかった。  もっと壊してしまいたい。  ぐちゃぐちゃになるまで、朝比奈の体の奥に己自身を突き立てたらどうなるんだろう。  今まで感じたことのない、激しい欲望が膨れ上がる。 「陸、もう1回イけ」  もう無理、というように朝比奈が首を振ってすすり泣く。 「そ、い、ちろ、早くっ」 「ダメだ。もう1回お前のイク顔を見るまで許さない」  朝比奈はその言葉にフっと一瞬幸せそうな笑みを浮かべ、キスをねだる。  絡みつくようなキスをしながら、中をかきまわされて、朝比奈は桜庭の背中に爪を立ててのけぞった。 「あああっ、総一郎っ!」 「陸、俺もイクぞ」  これでもか、というぐらいにずぶずぶと突き立てながら、桜庭は欲望を解き放つ。  ドクドクと桜庭の脈動を体の奥深くに感じながら、朝比奈は意識が遠くなった。 「陸、大丈夫か」  朝比奈は抱き抱えられて、風呂場にいることに気づく。  そっと朝比奈を降ろすと、桜庭は勢いよくシャワーを出した。  前に文句を言ったから、朝比奈をベッドに置いてくることができなかったのだろう。  そんなところがいかにも優等生らしい、と朝比奈は笑みを浮かべる。  そうか、意識を失ってる間に、終わってしまったんだ。  終わってしまえばいつもあっけない。  あれほど切望していたことなのに。  桜庭は黙って自分と朝比奈の体を洗い流す。  ボディーシャンプーを手に取り、優しく朝比奈の体に触れる。  乳首にも、下半身にも、それから尻の狭間にも。  セックスで自分が触れた場所に、順番に触れていく。  恥ずかしさをこらえて、朝比奈は桜庭のしたいようにさせていた。  触れてくれるのなら、いくらでもどこにでも触れてほしい。  まだ足りない。  まだ終わりたくない。  キスをねだりながら、下半身を桜庭に擦り付ける。 「どうした。まだ足りないのか」  桜庭がクスっと笑う。 「足りない。挿れて」  朝比奈は羞恥心も何もかなぐりすてて、四つんばいで桜庭を誘う。  桜庭はそんな朝比奈の尻の狭間を凝視して、固まった。  みるみる桜庭のモノが復活する。 「ゴムないけど」  気づいたように、朝比奈は申し訳なさそうな顔になる。 「大丈夫だ、中には出さないから」 「違う、そうじゃない。生でも気持ち悪くない?」 「なんだ、そんな心配してたのか」 「だって、汚いとか思うかなって……ああっ」  そんなこと微塵も気にしていない、というように桜庭はずぶり、と後ろから思い切り突き立てる。  薄いゴム一枚も取り去った、体温のある肉の感触に体が震える。  ぎりぎりまで引き抜いて、一番奥まで押し込んで腰を擦りつける。 「ああ……総一郎……それっ、すごい……」  体の空洞を埋めると、心も埋まっていくのはなぜだろう。  一突きされるごとに、快感の渦が大きくなっていく。  そしてもっと強い刺激を求めてしまう。 「もっと、奥まできて……ああっ、もっと」  自分で快感を探っている朝比奈の双丘を割り開いて、桜庭は自分のモノが朝比奈の体を貫いている部分を凝視していた。  理性も思考もなく、本能だけの獣になっていく。 「陸……うっ」  締め付けられるたびに、爆発しそうになり、桜庭は苦悩の表情になる。  朝比奈は体の中で桜庭のモノが固く膨れあがったの感じて、搾り取るように締め付ける。 「総一郎……総一郎っ」  ただ、相手の名前を呼びながら体を貪る。  忘れないで。  俺とこうやって抱き合ったこと、忘れないで。  せめて、俺のカラダだけでも好きになって。 「陸、そんなに動いたらイってしまう」  今度は桜庭が先にギブアップする。  欲望をはき出したい。  朝比奈の中に、思い切りぶちまけたい。 「いいよ、イって。俺も一緒にイく」  朝比奈が振り返って、笑みを浮かべた。  余裕のない桜庭の表情が愛しい。 「お前の中に出したい」 「いいよ、出して……総一郎の、俺の中にちょうだい。いっぱい出して……」  目を閉じて歓喜の表情を浮かべる朝比奈は、ゾクゾクするほど色気がある、と思った。  中に出して、と甘えた声で囁かれただけで、暴発しそうになり、桜庭は激しく突き上げた。 「陸っ、もう……イクから」 「俺も、イク、もうイクっ、ああっ総一郎っ」  勢いよく桜庭が達したのが、体の中でリアルに感じられた瞬間に、朝比奈は快感の渦につつまれる。  体を支えていられなくなり、浴槽の縁にしがみつく。 「あ……あ……そ、いちろ、のが、中に……」  最後の一滴まで注ぎ込もうと、桜庭はがっちりと朝比奈の腰を抱え込む。  のけぞって体を痙攣させている朝比奈に、容赦なく何度も己を突き立ててやっと満足する。  貪り合うように唇を重ね、きつく抱きしめ合った二人の上から、熱いシャワーが降り注いでいた。  そんなことも気にならないほど、お互いに相手のことだけを求めていた。

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