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 ガタッ  天気予報が外れて雨が降ってきた。濡れてしまった俺は咄嗟に近くの屋根に避難した。 「うっわ、最悪…っ」  重ねて最悪だったのは、雨宿りしたこの建物が例のお化け屋敷(と噂)の門だった。  あの男同士のセックスに遭遇したのは中学生の時だったから、数年経過している。    大人になるにつれこの屋敷にまつわる噂の内容を理解していった。  この屋敷は代々地主様の愛人を住まわす為のものだったそうで、昨今の不景気で地主様はこの屋敷を手放し、今は他の人が買い取って住んでいるんだそうだ。  あの日、立ちバックで攻めていたスーツの男は地主様の息子で今は海外で暮らしているそうだ。着物の人は息子の愛人だったのだろうから、もうこの家には住んでいないんだろうな、と思う。  なんて、エロい思い出に浸って門を眺めていると、家から誰かが出てきた。多分家主だろう。俺はその人影を見るなり言い訳をする。 「あ、ここの家の人ですか? すいません、急に降られたもんだから…ちょっと此処で雨宿りさせて下さい」 「え、ええ…」  驚いた。  着物の人は、まだこの家に住んでいたんだ。  そして何故か、彼の方が驚いた顔をしている。俺の顔が可笑(おか)しかったのか。 「あ、の……冷えているでしょうし…その、良かったら、家に入りませんか?」  俺は少し悩んだ。何故なら、雨に少し濡れた彼の鎖骨がとんでもなく色っぽかったからだ。  こんなシチュエーション、人妻モノのAVで見たことがあるぞ。 「……では、お言葉に甘えて」

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