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欲しい 欲しい 欲しい
熱くて、蕩けて、どうしようもない感覚、欲が溢れて止まらない。
「すいません…俺、も……」
彼の目はあの日の雨に濡れた仔犬ではなく興奮で血走った猛犬で、帯紐を解けば少年でなく雄の骨格で、若いソレは熱く滾っている。
僕はそれをお招きするように帯紐を解き、自分の浴衣を淫らな褥 にして強請った。
「はー…はー……っ!」
「あー…っ! あ、熱い……」
「…ぅあ……すっげ……っ」
本能的に彼は僕の腰をしっかり掴んで、ズンズンと奥へ進む。
「あ、やばい…出る……っ!」
「あ、ひゃあっ! あ、あっ!」
予想外に性急な挿入に僕は驚く。
彼の硬い熱が僕の弱いところを的確に刺激して僕ははしたない声をあげる。肌がぶつかる音が、豪雨の中でもよく聞こえて急に羞恥がこみ上げるが、興奮の方が勝っているからか、僕の声量は制御できない。
「出る、出る…っ、あぁあ…っ!」
「あぁああっ! や、やぁ…きて、るぅ……」
流し込まれる、奥に、彼の熱が。
そんなことされた僕は頭のてっぺんから足の先まで痺れた後に蕩けてヒクヒクと全身震えた。
ズチュ…と彼が一度引き抜くと、ドロドロと精液が零れて褥を汚していた。
欲望は果てなくなり、僕は身体を起こして彼を静かに押し倒した。
僕は四つん這いになって彼の精液塗れの、まだ硬いソレに顔を近づけて、わざとゆっくり舐めとってあげた。
「んん…だめ、です……汚い…っ」
「ふぅ、ん……んんっ」
あの人以外をこうして受け入れられ、かつ、欲しがっている自分自身に驚いた。蒸した雄の匂いと冷たい雨の匂いが混じって。
「たまらない……たまらないよ……っ」
もっと欲しくて、僕は彼に跨る。ギシギシと古い床板が鳴いている。
ザー ザー ザー ザー
雨脚が強くなると縁側にも雨粒が少しだけ跳ね返る。
雨粒、汗、蒸気、カウパー、精液、涎、涙、全部混じって僕と彼の肌を濡らす。
「あ、あぁ……奥ぅ……んん…」
「ん…はぁ……」
上に真っ直ぐと勃つ彼のモノを僕は呑み込んで、彼の先端が僕の奥の奥を突き刺す。
「んんんーっ!」
ナカに取り残された先ほどの精液が垂れて、彼の下腹部を汚す。達していない僕のソレはカウパーを零しながら震えている。
あの時、あの人に焦らされて啼いて泣いて懇願した僕の情けない雌の姿と似ていて、嗤ってしまう。
「……泣かないで、下さい…」
僕は僕を嘲笑してると思っていた。しかし彼は身体を起こして僕を包み込むように、壊れ物を触るように大事に触れる。
彼が僕の頬を拭った。それは本能的に流れた涙じゃなくて、感情で流した涙だったらしい。
「俺でよければ、いくらでも…」
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