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第37話 2人だけの世界
翌日移動した岬のおすすめのペンションは、さすがに岬らしいチョイスでお洒落なコテージ風の部屋だった。
暖色系の家具で統一され、部屋の真ん中には暖炉がある。
岬は暖炉の前に敷いてある、熊の毛皮のような大きな敷物を気に入って、その上でごろごろ転がってはしゃいでいた。
夕食まですることがないので、湖に散歩に行った。
「体調、大丈夫か?」
「全然大丈夫! 空気もいいし、最高」
貸しボートを見つけて、乗ってみることにする。
オフシーズンのせいか、周囲に人は全然いない。
織田がボートを漕ぐ役目で、岬は向かい側で機嫌よく歌を歌っている。
静かな湖畔に鳥の声と岬の歌声だけが響いている。
湖の中央ぐらいまで漕いで、少し岸に寄ってみると森の木に囲まれた場所があった。
昼間なのに少し薄暗くて、樹海に迷い込んだような幻想的な景色だ。
漕ぐのを止めて休憩している織田のそばへ行こうとして、岬が動くとボートのバランスが崩れて傾いた。
織田は笑いながら岬を抱きとめる。
「ほんとに2人きりだ……」
「そうだな」
岬は遠慮なく織田に甘えて、キスをしてくる。
見渡す視界に人は1人もいない。
まるで岬をさらって逃げてきたような気分になる。
もう誰にも邪魔されずに、このまま2人だけの世界に浸っていたいような気がする。
現実にはそんなわけにはいかないのだけれど。
「明日は帰るぞ」
「うん……」
「今日は……しようよ」
熊の毛皮の上に転がって、岬が誘う。
昨晩は岬の体調を気遣って、織田は岬を抱かなかった。
「大丈夫なのか?」
「だって……せっかくこんなところまで来たのに」
岬が自分でシャツのボタンをはずして誘うので、織田は誘われるままに岬の上半身に唇を這わせる。実は織田も我慢していたのだ。
「あ……ん……気持ちいい……」
久しぶりに岬の甘い吐息を聞くと、織田は急にムラムラした気分になってくる。
床に放り出してあったバッグを引き寄せて、ローションを探し出す。
岬のモノに舌を這わせながら、ゆっくりと後孔に指を差し込むと、岬は声を上げて身体を震わせた。
「もう……いいから……早く挿れてっ」
「まだだ。ちゃんと広げてからな」
「あっ……ああっ……ん……お願い……早くっ」
催促されて織田はやっと岬のモノから口を離すと、岬の両ひざを大きく開かせる。
「挿れるぞ」
「ん……あっ……あああ……修司っ……ああ……」
岬が伸ばしてきた手を握ってやりながら、ゆっくりと腰を沈めていく。
ただゆっくり挿れていくだけで、岬は息を乱して喘ぎ始める。
「気持ちいいのか?」
「うん……すごく……いい……」
岬の感度がいつもより良さそうなので、織田はできるだけゆっくりと動いてやる。
露の滴っている岬のモノにも優しく触れて、指先でなで回す。
「んっんっ……あっ……イキそう……んん……」
岬はイカせて、とねだるような目で織田を見つめてくる。
織田は岬の目を見つめ返しながら、岬の望むところを優しく擦ってやる。
「イっていいぞ」
「あ……気持ちいいっ……イク……」
岬は飛びつくようにキスをしながら、あっけなく達してしまう。
織田は動きを止めて岬の髪をなでながら、ひくひくと締め付けてくる感触を楽しんでいた。
「ねえ……もっとシてよ……いつもみたいに」
「いつもみたいって?」
織田が問い返すと、岬はちょっと恥ずかしそうに目を伏せる。
「だって……いつももっと強引に押さえつけてでも激しくするくせに……」
「激しいのがいいのか?」
せっかく優しくしてやろうと思ってたのに、と織田はクスリと笑う。
「そういう気分の時だってあるだろっ」
「知らねぇぞ、康介が言ったんだからな」
織田はがばっと身体を起こすと、岬の両手首を押さえつけた。
ギリギリまで引き抜いて、内壁を抉るように奥まで一気に突き立てると、岬はのけぞって喘ぎ声を上げた。
「あっ……あっ……いいっ……もっと……修司っ」
岬の喜ぶところを強く狙い打ちしてやると、悶えるように嬉しそうな顔をしている。
「俺もイクぞ」
「んっ……イって……俺もっ……またイクっ」
締め付けてくる岬に負けじと、思い切り奥まで突きながら織田は欲望を放つ。
岬は下半身を痙攣させて、後ろだけでイッたようだ。
後ろだけでイった時は、何度でもイけるって言ってたな……
織田は休む暇を与えず、岬の身体をひっくり返して腰を抱える。
「やっ……あ……あああっ!」
思い切り引き抜いては突き立てると、岬は悲鳴を上げて逃げようとする。
逃げる岬の腰をがっちりと抱えて、織田は容赦なく腰を打ちつける。
両手で尻を開いて根本まで押し込み、ぐりぐりと擦りつけると、岬はがくがくと身体を震わせた。
「あ……あ……またっ……やあああっ……」
四つんばいの姿勢に耐えられなくなった岬が身体を横にすると、白い液体がトロリとあふれ出す。
織田は岬の片足を抱え上げて、それでもまだズクズクと突き続けた。
「やめっ……ああっ……修司っ……」
「満足か?」
クスっと笑って、織田は岬を仰向けにすると、両足を抱え上げる。
「どうする? もうやめるか?」
「やだ……やめないで」
涙まじりの岬の言葉を聞き終わらないうちに、織田は岬の膝を折り曲げてぐっと深く突き入れる。
この姿勢が一番前立腺を直撃する。
ずぶずぶと突き立てると、岬は狂ったように悶えて声を上げた。
「俺もイっていいか? まだ続けるか?」
「イって……お願い、一緒に……もうっ……ああっ……」
織田は突きながら岬のモノを激しく擦ってやる。
「修司っ……修司っ……」
最後は織田の名前を呼びながら、岬はのけぞるように達して、ぐったりと動かなくなった。
織田も心置きなく岬の中に二度目の欲望を放つ。
岬の携帯からは黒川の送信したメールは返す前に削除しておいた。
だけど、織田は一生この事件を忘れないでおこう、と思っている。
二度と岬をあんな目に合わせないために、自分だけは今の気持ちを忘れずに覚えておくべきだと思う。
「康介……ごめんな」
岬の唇にそっと口づけて、織田はいつまでも髪をなでていた。
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