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第38話 ずっと一緒に
「あれ……なんだよ、このダンボール」
マンションに帰ると、玄関にダンボール箱がいくつか積み上げてある。
「お前が入院している間に運んだんだ」
「荷物……これだけ?」
「ああ、要らないものは処分した」
織田の荷物は本当に衣類と身の回りのものだけのようだ。
「じゃあ、この部屋、片づけて修司の部屋にしようよ」
岬は織田の手をひっぱって、衣装部屋にしていた六畳間に連れて行く。
「必要な家具とかも買いに行こうぜ」
「俺は別に寝る場所さえあったらいいんだ。それより今日はゆっくり休んだ方がいい。疲れただろ?」
「でも……片づけないと」
きっちり屋の岬は、ダンボールの中の織田の衣服が気になっている。
「片づけなんていつでもいいから。お前はちゃんと休養しろ」
織田は岬を抱き上げて、強制的にベッドへ連れていく。
「俺……もう病人じゃないのに」
「いいから。片づけは俺がやる。今日はゆっくりしよう」
「じゃあ……側にいて」
岬を抱きしめながら、織田もベッドに転がる。
「もう……ずっと一緒なんだ」
「ああ、よろしくな」
織田が岬の頭をなでると、岬は嬉しそうに照れる。
「なんか、嘘みたい」
岬はベッドの上ではしゃぐようにごろごろと転がっている。
退院してからの岬はずっとご機嫌だ。
この笑顔をずっと見ていたい、と織田は思う。
刑事の恋人なんていう役回りを選んでくれた岬に、せめて自分にできることはなんでもしてやりたい。
「康介……俺、お前に会えてよかった」
織田が岬を見つめて言うと、岬は急に笑顔を引っ込めて不安そうな顔になる。
「修司がそういうこと言うと、またなんか悪い予感がする……」
「なんでだよ」
「似合わねぇよっ、修司にそういう殊勝なセリフ!」
岬は織田の鼻をぎゅっとつまむと、笑いながらキスを落とした。
【刑事は参考人にキスをした2 刑事の恋人は狙われる ~End~】
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