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第18話 交わり
俺は今、ノウェルと向き合いながら手を繋ぎ、それぞれケツを掘られている。俺はヴァニルに、ノウェルはイェールに。
俺が願った心地よい関係なんて、刹那の夢物語だったのだ。イェールが混じったことで、上手く混じり合っていた澱みが掻き乱された。
「ヌェーヴェル··んんっ····、こんなかたちでも僕はね、君とこうして愛を交える事ができて、とても幸せだよ。君はっ、んぁ····どうだい?」
「最悪だ! こんなの、どう考えても狂ってるだろ! ちょっ、ヴァニル待て!! 奥挿れるな、ぅぶっ、お゙っ、ん゙え゙ぇ゙ぇぇ」
「あぁ、苦しそうに吐くヌェーヴェルも愛らしいね。僕の事を少しでも好いてくれれば、僕は幸せなのだけど。ひぁっ····イェール、もう少し優しくしておくれ。ヌェーヴェルに愛を囁けないじゃないか」
「ノウェルさん。貴方、今誰に突っ込まれてるかわかってます? オレですよっ!」
「んあ゙ぁ゙ぁぁっ!! ダメだよイェール。奥抉らないでぇっ────」
どうしてこうなったかって? 全部ノーヴァが悪いんだ。
遡ること数時間前。
今日も今日とて、退屈したノーヴァが俺をからかって遊んでいた。激務に追われているこの俺を、だ。本当に迷惑な奴。
ローズの教えによって紳士的になったと思っていたが、それはただの余所行き用だったのだ。俺たちの前では、依然として我儘王子の様な振る舞いをするのだった。
「ボク、ヴェルの事諦めたわけじゃないからね」
「は? んな事知ってるよ。あー、待て。この書類で最後だから、あと少し黙ってろ」
「やだよ。あのね、ボクはヴァニルも好きだよ。なのに、ヴェルとヴァニルがずっと一緒にいて、ボクだけぼっちなんて可哀想でしょ?」
最近、ヴァニルを護衛として傍に置いていることを不満に思っているらしい。常時子供の姿のノーヴァを、護衛はもちろん小間使いになどできるわけがない。
「仕方ないだろ。お前、見た目はガキなんだから。それにお前、それ自分で言う事じゃないだろ」
「なんだよ、ボクを子供扱いするなって····まぁ、そこは仕方ないか。て言うか、ヴェルは必死に隠してるみたいだけど、ボクに全く情がないわけじゃないんでしょ?」
「なっ······だったら何だよ」
「ボクにも、ヴァニルとするみたいにトロットロに甘えながら抱かれればいいのに。ヴェル、ボクに挿れられるのも好きだよね? あっ! それとも、ボクに挿れてみる? まだ童貞だよね?」
童貞は捨てたいが、ロマンティックに卒業する夢も捨てきれない。
それよりも、誰がトロットロに甘えてるだって? そういう風に見えているのか!? そんなつもりは微塵もなかったのだが····。
動揺している俺を他所目に、ノーヴァは俺のチョロい息子を引っ張り出した。先端をグリグリと指で弄る。先走り汁がどんどん溢れてきて、滑りが良くなった所為で快感が増す。
「うぁっ!? ノーヴァ、やめろ。この書類、明日までに仕上げなくちゃいけないんだ」
「勝手にしゃぶってるから、勝手に仕事してなよ。仕事終わったらシようね」
「ふっざけんなよ····」
こんな時に限って、ヴァニルは何処へ行ったんだ。早く嫉妬全開で止めに来いよ····。遊び始めたノーヴァは、手に負えないくらい執拗いのだから。
「ねぇ、仕事終わった?」
「ハァ····も、もう終わる。おい、なんでお前のケツ解してんだ? 挿れないぞ」
「なんで? お前のお尻はヴァニルがするだろ?」
「そのヴァニルはどこ行ったんだよ。アイツにお前をどうにかしてもらおうと思ってたのに····」
「ヴァニルだったら、結構前からそこでニヤニヤしながら見てるよ?」
「はぁ!!?」
振り向くと、ベッドに座って俺たちを眺めているヴァニルが居た。いつから居たんだ。
「おまっ、何してんだよ! 助けろよ! 仕事の邪魔されてんだぞ!?」
「いえね、私がヌェーヴェルに挿れて、ヌェーヴェルがノーヴァに挿れているところを想像したら、なかなか良いなと思いまして」
「こんの変態め····」
なんとか仕事を終え、本格的に行為が始まる。ノーヴァに3回も搾り取られヘロヘロになっていた俺を、ヴァニルが抱えてベッドに運ぶ。そっと寝かされると、そのまま服を剥ぎ取られた。今日もされるがままだ。
「待て、ちょっと休ませろ。あのバカに3回も搾り取られたんだぞ。もう出ねぇよ」
「貴方は出すほうじゃないから問題ないですね。若いんですから、すぐに精力も戻るでしょう。その時はノーヴァに挿れてあげてください」
「挿れねぇって! 俺は女で童貞捨てる予定なんだよ! 何が悲しくて男で卒業せにゃならんのだ」
「はは。女より、ココのほうが具合がいいですよ。格段に」
ヴァニルがガチガチに滾ったそれを、ケツの穴に押し当てながら言う。
「んぁ····知らねぇよ····。とりあえず、ノーヴァで卒業なんて、絶対に嫌だっ」
「強情だなぁ。ほら、ボクのナカ、ヌェーヴェルが初めてだよ? 挿れてくれないの?」
ケツを開いて誘ってきやがる。どこでこんな破廉恥な言動を覚えてくるんだ。····いや、200年も生きてりゃ知ってるもんなのか。
「い、挿れない····、絶対挿れないからなっ!!」
「残念。だけどボクね、ヴェルが女を抱くの許した憶えないからね。はーい、いただきま~す」
後ろから俺に突っ込んでいるヴァニルに、両脇を抱えて上体を起こされた。バカみたいに元気になっている俺のちんこを、ノーヴァのケツが飲み込んでゆく。
「ふっ、あぁっ····んぅっ、キツいって····ちんこ痛ぇ······」
「初めてなんだからしょうがないでしょ」
「ヌェーヴェルの初めても、ネジ切られそうなくらいキツかったですよ」
「待て、動くな。もう出ちまう! あぁぁっ、ヴァニルも動くなぁぁ!! ひあぁぁぁっ!!!」
俺は無惨にも童貞を奪われた。出しながら、ケツでイクなんて、本当に女を抱けなかったらどうしてくれるんだ。
俺は苛つきを抑えきれず、今晩はもう抱かせないと言ってやった。
一度は大人しく部屋に戻ったノーヴァとヴァニルだったが、暫くしてとんでもない客を連れて戻ってきやがった。ノウェルとイェールだ。
ノーヴァの口車に乗って、イェールはノウェルを犯し始めた。ノウェルはと言うと、イェールに犯されている間、一度だけ俺に挿れさせてやると言われたらしい。そこまでして、俺と交わりたいのか。
さっきの俺と同様に、ノウェルはイェールに突っ込まれながら俺のケツを狙う。俺はノーヴァの洗脳によって動けない。
まんまとノウェルに挿れられてしまった。ノウェルのちんこが収まった途端に、ノーヴァは洗脳を解いた。俺が自力で抗えない事を知らしめたかったらしい。
「ノウェル、満足か····。俺んナカに入って、満足かよ!?」
「満足、なんかじゃないよ····。僕は、君の心まで、欲しいのだから」
「チッ····。オレはノウェルさんの心が欲しいですけどね。そんな横暴な男より、俺のほうが貴方を大切にしますよ。ねぇ、俺に恋してくださいよ」
イェールがノウェルの耳元で囁く。それに驚いたノウェルが、俺の奥をグリッと抉った。
「んあぁぁぁっ!! ノ··ウェル····お前、加減しろよ」
「ごめ、ヌェーヴェル····凄く締まって気持ち良いよ。あぁ····だめだ。もう出てしまう」
ノウェルは、イェールのピストンに合わせ俺のナカを擦る。そして、気持ち良さそうに俺のナカで果てた。
ノウェルは、俺の背に覆いかぶさりギュッとキツく抱き締める。これが、俺とノウェルの初めてのまぐわいだった。抱き返してもやれなかったのは、少しだけノウェルに悪い気がした。
ノウェルから引き離すと、ヴァニルは俺のナカにズンと入ってきた。おそらく、嫉妬しているのだろう。初めは乗り気だったくせに。
そして、今に至る。
ノウェルは、引き続きイェールに掘られている。イェールも達するまでに時間のかかる、体力オバケのようだ。まぁ、ヴァニルほどではないと思うが。
ヴァニルは俺とノウェルを向かい合わせた。すると、調子に乗ったノウェルが、俺の手を取り指を絡めてきたのだ。
余程昂っているのか、舌を絡めた深いキスをかましてきた。吸血鬼は、人間よりも幾分か舌が長いので、喉の奥まで易々と舐めまわされてしまう。嗚咽混じりに喘いでいると、ヴァニルが意気揚々と奥を貫いた。
「イェール、貴方もノウェルの奥を抉ってあげたらいいですよ。ノウェルは奥を酷くされるのが好きですから」
ヴァニルの助言にムッとしたイェールだったが、言われた通りに奥を抉る。俺とのキスの最中の衝撃に、ノウェルは仰け反って深い絶頂に堕とされた。
刺激の強さに、ノウェルは一瞬意識を飛ばし俺に倒れかかった。なんとか支えてやったが、俺とてそんな余裕はない。ヴァニルのバカが奥を貫いたまま抉り、そのままナカに大量の精液をぶち撒けたのだ。
腹の奥で熱い射精を受け、ヴァニルが抜いてくれるまで俺はケツでイキ続けた。
この乱れた関係が俺たちの日常になるのかと思うと、ただただ憂鬱になる。さっさと嫁をとって、この関係から一時的にでも脱却せねばならない。
まずは、嫁候補を探さなければ。明日、親父に持ちかけてみよう。
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