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第22話 ヴァニルの嫉妬
月明かりが眩い夜更け。俺に跨るヴァニルの顔がよく見える。無感情に作られた笑顔が恐ろしい。
「おや? ヌェーヴェル、震えてませんか? 寒いですか?」
「違····お前が怖いんだよ」
「そうですか。それはどうでもいいです。と言うか、自業自得ですからね」
「何がそんなに気に食わなかったんだ? ノウェルと出掛けた事か? それとも、煽った事か?」
「全部です。慰みにノウェルを選んだ事も、あんな厭らしい顔で帰ってきた事も、全部。妬かせたかったんですよね。充分妬いてますとも。その結果がこれです。満足ですか?」
手を麻紐で縛られベッドに繋がれている。ヴァニルが腰の上に跨っているから、蹴って抵抗する事もできない。
「ヴァニル、あまりヌェーヴェルに酷いことをするなよ。瀕死のヌェーヴェルを見るのは嫌なんだ」
「大丈夫ですよ、ノウェル。この人、死にかけて感じてますから。貴方が、虫の息のヌェーヴェルを見るのが辛いのは知ってますよ。いつも目を伏せてますものね。まぁ····ヌェーヴェルを連れ出した事、怒ってないわけじゃないですから」
冷ややかな目でノウェルに言い置くと、ヴァニルは俺のケツをろくに解しもしないで捻じこんできた。
突然与えられた痛みに、思わずヴァニルに抱きついてしまった。
「い゙っん゙ぁ····ヴァニル、痛ぇ····」
「ふふ。そんなにしがみついて可愛いですね。奥はちゃんと解してあげますよ。貴方を痛めつけたいわけじゃありませんから」
「だったら、ふぅ゙ンッ、いぁ゙っ····ケツも解せよ!」
「いつもそれなりに自分で解しているくせに。今日は、私に優しく解されたかったんですか? だったらちゃんと強請ってくださいよ。愛らしく素直に」
「そ、そんな事できるか! くっそぉ····なんなんだよ。愛らしくって、俺男だぞ····」
「ヴェルは可愛いよ。1人でギャーギャー喚いてさ、気持ちイイと途端に大人しくなるの。イキまくったら、少しだけ素直になれるんだもんねぇ~」
ノーヴァが俺の頬を撫でながら言う。愛でるように見られるのは、悪くはないが腹が立つ。
「そんな事ない。俺は可愛くないし、素直にもならない゙っぐぅぅっ」
ヴァニルが最奥を叩く。これからそこを抜かれるのかと思うと、どうにも勝手にケツに力が入る。
「これから貫かれるのを想像したんですか? 凄く締まってますよ。あぁ、イェール。ノウェルを好きに犯してていいですよ。ただし、ノウェルとヌェーヴェルを向かい合わせてください」
「····ヴァニルさんは鬼畜ですか。愛する人を大切にしたいとか思わないんですか?」
「大切にしてますよ。ですが、行動を誤った時や気に入らない時は、きちんと折檻しなくては。まぁ、ヌェーヴェルは折檻を悦んでしまうからエスカレートするので、多少酷く見えるかもしれませんね」
「ノウェルさんにも酷くしていたじゃないですか。それは貴方の性癖でしょう」
「イェール····帰りますか?」
「····わかりました。黙ってノウェルさんを可愛がってればいいんですね」
「イェールは話の分かる子で助かります」
ヴァニルは俺のナカを掻き回しながら、イェールにニコッと笑顔を向ける。俺以外に笑顔を振り撒くことに少し腹が立つのは、ノウェルの言う通り俺がヴァニルを好いているからなのか。
「ほら、ヌェーヴェルもノウェルの方を向いてください。貴方の心がノウェルへ向いたとしても、今貴方のナカに居るのが誰なのか、しっかりとここで感じてください」
ヴァニルは俺の下腹部を握って言った。そこを刺激されると、俺の身体はイクように躾られている。
「ああぁぁっ!! やめっ、腹握るな····んはぁっ····ヴァニル、嫌だ、そのまま奥抉るなぁぁ!!!」
ここから、ヴァニルの容赦のない責めが始まった。
ノウェルと向かい合わせにされ、ノウェルの漏らす嬌声を耳元で受けながら、奥をぐぼぐぼ抉られ続ける。ケツも腹も麻痺してきて、段々と感覚がなくなって、衝撃が脳まで痺れさせる。それなのに、快感がやまないのは何故なのだ。
「ヌェーヴェル、息しててくださいよ。まだまだ、これからなんですから、ねっ」
「ンンッ、イ゙ッ、にゃぁぁぁぁっ!! もうらめらって、奥やらぁ!! 感覚ないんらって、けちゅおかひくなってぅからぁ!!」
「ヌェーヴェル、落ち着いて。大丈夫····ん、ふぅ····はぁ··ン····」
ノウェルが甘いキスをしてくる。声を出さないと苦しいのに、塞がれてしまった。
「あぁ····締まりますね。ヌェーヴェル、ノウェルとのキスは気持ちイイですか?」
「んっ、はぁっ····気持ち、イイ····ヴァニルの、ちんこも、気持゙ちイイ゙ァッ······」
「おや、ようやく素直になれましたか」
朦朧とした意識の中で俺が心の内を吐露すると、ヴァニルは意気揚々とこれまでで一番深い所を抉った。
「ひっ、んがぁぁぁっ!!! な゙っ、おぐ、死゙ぬ゙ぅ゙ぅぅぅ!! む゙り゙ぃっ、もう入んね、っでぇぇ!! おあ゙ぁ゙ぁぁイクイグイ゙グゥゥッッや゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙····んぶぇ゙ぇ゙ぇぇぇ」
「いいイキっぷりですねぇ。奥まで締まって最高に気持ちイイですよ。さ、もっとイキましょうね」
「ゔぶえ゙ぇ゙ぇぇ····ゴホッゴホッ、ヴァニ··ル、死ぬ····も、イクの、やら····んっ、あっ、はぅっ····」
「ヌェーヴェル、貴方は誰のものですか?」
「んぇ····ヴァニル、の、ものれす····ヴァニル、怒ってんの、もうやら····優しくしてくぇ····ヴァニルぅ······」
ほとんど意識を失っていた俺を、ヴァニルがキツく抱き締めた。顎を持ち上げられ上から食べるようなキスをされ、ついに息が出来なくなった俺は気を失った。
ふと気がつくと、ヴァニルが回復魔法を施しながら、俺はノーヴァに犯されていた。
「····ヴァニル、もう、怒ってないのか? っあぁぁ、ノーヴァ、待て! 奥やめ゙っ····んあぁぁ!!」
「ボクとヤッてんのに、まずヴァニルに話し掛けるんだ。いい度胸してるね」
今度は、ノーヴァが怒っているようだ。どうしてこう、この2人は激情しやすいのだろう。毎晩のように俺を抱き潰しているくせに、欲求不満なのだろうか。
「ヌェーヴェル、私はもう怒ってませんよ。貴方が私のものだと言った所為で、ノーヴァが怒ってしまいましたが」
「ヴェルが誰のものか、今ハッキリさせてもいいんだよ?」
「ノーヴァ、悪かった····。あまり覚えてないんだが····俺は、今はお前達のものだから! 奥やめろってぇぇ!!」
ノーヴァは俺の上っ面の謝罪など聞き入れるはずもなく、執拗に奥を抉り潰した。何度射精を受けたかわからないが、俺が返事もままならなくなった頃、ようやくノーヴァが俺のナカから出ていった。
「ノウェルも挿れたいですか?」
ヴァニルが、イェールに抱き潰されているノウェルに聞く。
「はぇ····ヌェーヴェルに、挿れ、る····」
「はは。そんな状態で挿れられるんですか? 随分ヘロヘロに可愛らしくなってますけど」
「オレ、気づいたんですよねぇ。ノウェルさんがそこの男たらしに挿れらんないくらい、抱き潰せばいいんだって。ね、ノウェルさん。もう勃たないですよね?」
「んぐぅぅ····イェール、もう、奥を抜くの、やだ····」
「あっはは! イェールは見込みがありますねぇ。貴方は我々寄りだ。存分に愛のままに楽しみなさい」
「アンタに言われなくても、イェールさんは俺のモノにしますよ」
ノウェルがイェールのものに····。それは嫌だな。俺は、遠退いていく意識を手放さないよう、踏ん張りながら呟いた。
「ノウェルは、お前のモノには····ならない······」
「「は?」」
ヴァニルとイェールが声を揃えた。
「ヌェーヴェル、それは、どういう意味だい? だったら、僕は····誰のモノなんだい?」
「お前は、俺のもんだろ。違うのか?」
ノーヴァと入れ替わりに、再び俺のナカに入っていたヴァニルが、それ以上言うなと言うように前立腺を潰す。
「い゙あ゙ぁぁ!! ヴァニル、痛いっ! それ、もう痛いからぁっ!!」
「誰が誰のモノですって?」
「また妬いてんのか!? バカッ! お前もノーヴァも俺のモノら!! 俺をお前らのモノにしたいんだろ!? だったらお前らは俺のモンだろうが!」
「は····はははっ。ヌェーヴェル、貴方って人は····」
「なんだよ。ノーヴァも何か文句があるのか?」
呆気にとられた顔をしていたノーヴァに聞いた。
「いや、文句じゃないけど····。ヴェルはボクたち以上に我儘だなぁって。そういう所も好きだけどさ、勝手すぎない?」
「私達の気持ちなんて二の次。ヌェーヴェルは、自分が1番ですものね。出会った頃から変わりませんねぇ」
「何を言ってるんだ。ヌェーヴェルは子供の頃から変わらないさ。けど、本人も気づいていないだけで、大切な人の事は自分よりも大事にするんだ」
「しねぇよ! なんだその恥ずかしい習性は!? そういう事サラッというのやめろよ!」
「もう、喚かないで··よっ」
「ひあぁぁっ!!? なっ、チクビ抓るな! 取れるって! 痛いっ、ノーヴァいだいぃっ!!」
「ははっ、ヌェーヴェル····凄く締まってますよ。あぁ、私のイチモツが喰い千切られそうです····」
それぞれに楽しんでいるようだが、俺はもう限界だ。痛みと快感以外の事をうまく考えられない。
「チクビ、取れたぁ····」
「取れてないよ、ヴェル。あはは、ヴェルがバカになっちゃった」
「もう勘弁してくれ····。ケツも気持ち良すぎて、頭、真っ白になる····」
「好機 ですね。ヌェーヴェル、私たちは貴方のモノですが、貴方は誰のモノになりたいですか?」
「んぇ····? 俺、は····」
皆の視線が俺に集中する。何を不安に思っているんだか、垂れ眉の馬鹿面が並んでる。
「俺は、お前らのモノがいい。誰か1人だけなんて嫌だ。足りない。お前ら、全員俺のモノだ。····あ、イェールは要らない」
イェールの怒号が聞こえた気がしたが、無視して意識を手放してしまった。
ノウェルと過ごした一夜で思った事と、心のどこかで押さえ込んでいた本音を曝け出せたからだろうか。スッキリした俺は、久しぶりに深い眠りへと落ちた。
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