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第23話 勝手気まま我儘

 ノーヴァのちんこを喉奥にねじ込まれて目が覚めた。 「んぶっ、あっぇ゙ぇ゙ぇぇ····」 「あ、起きた。おはよ、ヴェル」 「お゙ぇっ、がはっ、ごぼぇっ」 「あぁ、ごめんごめん。喋れないよね」  ノーヴァはちんこを引っこ抜き、俺の髪を掴んで顔を上げさせた。 「おはよう、ヌェーヴェル」 「お、おは····ゲホッゴホッゴホッ」 「さ、もう1回いくよ。口開けて」  なんだかキレている様子のノーヴァ。挨拶を終えると、再び喉の奥まで一気に突っ込む。  チラッと視界に入ったのだが、俺の横にはノウェルが泡を吹きながら倒れていた。ヴァニルが俺のケツに腰を打ちつけながら、片手間に回復をしている。  どういう状況なんだ。 「お前の所為だぞ、たらし野郎」  声の主を探すと、椅子に縛られたイェールが抜け出そうと藻掻いていた。 「んんんっ!? ぅぶぇっ」  ノーヴァの腰を押して逃げようとしたが、頭を押さえられ逃げられなかった。嗚咽をあげると、ノーヴァは嬉々として腰を強く打ち込む。昂った笑顔が厭らしくも愛らしい。だが、あまり見る余裕はない。 「そのまま吐いていいよ。アッハハ。ヴェル、お漏らし止まんないね」 「ノーヴァ、こっちも奥やりますよ。噛み千切られないよう、気をつけてくださいね」  言い終えるが早いか、ヴァニルが結腸をぶち抜いた。あまりの衝撃に目が眩み、ノーヴァのモノを咥えながら吐いた。と言っても、もう極小量の胃液が出ただけだったのだが。  どれだけ苦しかろうが嗚咽をあげていようが、ノーヴァは容赦なく俺の喉奥を抉り潰す。全く息ができなくなった俺は死を覚悟した。 「ヴァニルさん····。ヌェーヴェルさん、そろそろ死にますよ。また回復すれば良いと思ってるんですか? 愛する人に、よくそんな酷いことできますよね。まったく、どれだけ歪んだ愛情(性癖)なんだ····」 「イェール、ノウェルを潰した事怒ってるんですか?」 「当然だろ! ヌェーヴェルさんが気を失ったからって、代わりにノウェルさんを潰すなんて!」  そういう事だったのか。俺の所為でノウェルが····。 「それだけじゃないんですけどね。貴方だって、ヌェーヴェルに腹を立てて激しく犯していたでしょう」 「あれは! ····どうしたって、ノウェルさんが俺のモノにならないのかと思うと、頭に血が上って····。身体だけでも堕としてやりたかったんだ」  発想がヴァニル的だな。なんにせよ、結局俺の所為じゃないか。 「ノウェ····んぶっ」 「死ぬ間際に呼ぶのがノウェルかぁ····。なんでボクじゃないのかなぁ。ほらヴェル、僕の名前も呼んでよ」 「んゔっ、ノー··ヴァ····ゲホッ····やめ、ノーヴァ····」 「やめないよ。ヌェーヴェルが言ったんだよ? 僕たち全員が欲しいって。誰か1人じゃ足りないんだよね? だったらさぁ、ちゃんと相手してよ」  ノーヴァは本気で怒ったのか、大人の姿になった。喉に突っ込みながら大人になる奴があるか。ブチ切れてやりたかったが、そんな事は到底できなかった。 「あっははヌェーヴェル、出るもの全部出てる。きったな~い」 「ヌェーヴェルに····汚い所なんて、ないさ····」  ノウェルが意識を取り戻した。フラつきながら寄ってきて、ノーヴァを押し退けて俺の涙を吸い取る。 「ちょっ、ノウェル! 何すんのさ」 「君たちは、ヌェーヴェルを物のように扱って、満足そうだね。ヌェーヴェルがそれを望んだって、限度というものがあるだろう」  俺を抱き締めて怒るノウェルの言葉を聞いて、ノーヴァはバツの悪そうな顔をした。   「ノウェル····お前、身体は大丈夫なのか?」 「大丈夫じゃないのは君のほうだよ、ヌェーヴェル。僕は君を愛でたい。花や宝石のように大切に扱いたい。こんなにも、ぐじゃぐじゃになって泣いている君を見るのは辛いんだ」 「俺は····大丈夫だ。少し辛いが、これくらい刺激がないとイけないんだ····。酷くされないと、身体の疼きがおさまらないんだよ····」  俺は涙が止まらず、ノウェルに抱きついた。それを引き剥がし、奥を貫くヴァニル。 「こういう強い刺激がないと、ヌェーヴェルはイけないんですよねぇ」 「あ゙ぁ゙ぁ゙ぁっっ!! ケツ、イっひゃう····ヴァニル、お゙ぐっ、ぎも゙ぢぃぃ!! ノウェル、ごめん゙ん゙ん゙っ! 俺、もう····酷くされないと、イ゙ッ、けない゙ぃ゙ぃ゙····」 「そういう身体になってしまったんですよね。だから、お嫁さん探しも諦めたんですものね」 「も、女でイけない····お前らじゃないと、満足できねぇって····わかってるんだよぉ····」 「だったらいい加減、跡を継ぐのもやめて、私達に溺れたいと言ったらどうです? いつでも連れ去ってあげますよ」  ヴァニルは、俺の首をねじ切れそうなほど振り向かせ、深いキスをした。 「ん、あ····はぁ····あにぅ····あにぅ······」 「ん? 何ですか?」 「なんでお前が、泣きそうな顔してんだよ」 「····してませんよ。ノーヴァ、イェールの縄を解いてあげてください。もう、やめましょう」 「そうだね。ヴェルが、ボクたちじゃないとダメだって言っただけでも進歩だよ」  ノーヴァはイェールの縄を解き、ヴァニルは俺のナカから出た。 「ヴァニル、怒ったのか?」 「ヌェーヴェル····。私も貴方をもう少し大切に扱ってみようかと思います。貴方がノウェルに惹かれるのは、その優しさでしょう」 「わ、わかんねぇけど····。確かに、ノウェルに優しくされると頼りたくなる」 「はんっ! 甘ちゃんが。ノウェルさんの優しさにつけ込んで、弱い自分から逃げているだけだろう」 「イェール、ヌェーヴェルにそういう事言うなら、もう抱かせてあげないよ」 「なっ····!? ノウェルさんもノウェルさんだっ! こんないい加減な奴の何がいいんですか!? 振り回されて傷ついて、貴方が酷い目に合うのは全部こいつの所為じゃないですか!」  パンッ──  ノウェルがイェールの頬をひっぱたいた。 「イェール。僕はね、ヌェーヴェルを愛してるんだ。君を愛する事は、きっとない。ヌェーヴェルが僕を選ばなくても、だよ。それでも、君は僕を想い続けられるのかい?」 「勿論です。俺は貴方を守りたい。貴方に笑っていてほしい。ヌェーヴェルさんを見る時、なんて優しく悲しそうに微笑むんだと思いました。それを、こいつはわかってないのが腹立たしい····」  ノウェルが悲しそう····。言われてみれば、確かに物悲しそうな印象はあった。 「あのなイェール、俺が悪いのはわかってんだ。お前が怒るのもわかる。だから、ハッキリさせるよ。選ぶのを待ってほしいと言ったが、これじゃどんどん関係が悪くなるだけだからな」  親父に見合いの話を無かったことにしてもらおう。そして、嫉妬深いこいつらにケジメをつけてやろう。   「今夜、酷くしないで俺をイかせてくれ。優しくされたい。できるか?」 「舐めてるんですか? 溶けてしまうくらい甘やかしますよ」 「はぁ~····。ホンット我儘なんだから」 「イェールは来るなよ。来ても、ノウェルには指1本触れさせねぇからな」 「いちいち癪に障る奴だな····。わかった。けど、見届けに来る」 「好きにしろ」  ノウェルが不安そうな顔をしている。どうしたのだろうか。 「誰か1人を選ぶと、その····、選ばれなかったら君とはもう、愛を交わせないんだね。会うことさえ、これまでのようにはいかないんだね」 「選ばれなかったらな。俺がどういう答えを出すか、全員覚悟してろよ。俺は俺を突き通す。我儘だって言われても、それを受け入れられないなら俺も受け入れない。結論を出すということは、そういう事だからな」 「わかってますとも。貴方の選択を楽しみにしています。私達に甘く抱かれながら、そのユルユルの心を決めるといいですよ」  俺たちは決闘でもするかの如く、互いに射るような眼差しを向けあった。  イェールは回復しきっていないノウェルを抱えて帰り、ヴァニルとノーヴァも部屋へ戻った。  外はとうに白んでいて、まもなく朝日が顔を出すのだと知らせる。俺は少しでも眠りたくて、シャッとカーテンを閉めた。

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