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第26話 優しくとは言ったが····

 ノーヴァは優しいキスを繰り返す。徐々に激しさを増し、早速約束を破って大人の姿になる。そして、大きくなった手で、俺の頬を包んで口内を隈無く舐めまわす。 「んっ、おま····大人になるなって··んんっ····」 「ん······ふぅ。こっちだと、ずっと奥まで犯せるもん。血、ガブ飲みしないからさ。これからは、ヴェルを危険な目に合わせるのは控えるよ」 「控えるって、やるときゃやるんだな」 「だってヴェル、好きでしょ? 死ぬほど犯されるの」 「······嫌いじゃない」 「あははっ。素直じゃないなぁ」  ノーヴァは再び俺の口を塞ぐ。ケツを弄っていたヴァニルは、潤滑油(ローション)が乾かぬうちにギンギンに滾り勃ったモノを俺にねじ込んだ。 「んぅ゙っ、ん゙ん゙ん゙っ!!! んはぁっ、デカ····待っ、デカ過ぎんだろ······」 「デカいの好きでしょう? ほら、もうイきそうじゃないですか。挿れただけですよ」  いつもより確実に大きい。圧迫感が凄い。なのに、容赦なく奥へ進んでくる。 「ひぅっ、あぁっ!! ふっゔぁん····アッ、奥待って」 「大丈夫。まだ抜きませんよ。もう少し、ここを解してからです」  ヴァニルは下腹部を揉みながら、期待を持たせるような事を言う。そして、ぱちゅぱちゅと音を立てて俺を煽る。 「ヴァニル、音、嫌だって····。恥ずかしいって言ってんだろ····」 「そうですね。厭らしい音が響いてますね。貴方がどれほど感じて濡れているか、よくわかるでしょう」 「ひぁっ!! やめろ! 耳元で、喋んなぁ····」  ヴァニルの甘い声で耳を犯され、全身の力が抜けてしまう。ノーヴァに支えてもらったが、そのまま反対の耳を責められる。 「ヴァニルに犯されて気持ちよさそうだね。次、僕もシてあげるからね。今は雄っぱいでイかせてあげる」  そう言って、指先で乳首を転がすように弄る。ノーヴァは弄りながら首筋に牙を立て、遠慮がちに血を啜る。  大人の姿になったノーヴァは、俺よりも少し声が低くなる。ゴロゴロと喉を鳴らすように話すのが、俺のツボだと知っている。だから、耳元で話す時は必ず、そういう声で話すのだ。 「お前ら、耳やめろって······んぁ··も、力、入んねぇ····」 「ヴェル、ボクのおちんちん握って? 上手に扱ける?」 「でき··ない····。力入んないんだってぇ····」 「それじゃ、口でシてもらうしかないね。ほら、あーん」  ノーヴァに頭を押さえられ、口元に持ってきたちんこで頬をベチベチと叩かれる。蒸れた匂いを嗅がされ、快感に似た何かが全身にぶわっと湧き上がった。 「んぁー····ふぅ、んぅ····ぇあ゙····」  いつもの癖なのか、早い段階で喉奥を拡げにかかる。 「ヴェル、吐くの嫌?」  優しくしたいのだろう、俺のボーダーラインを探っているようだ。 「んはぁっ、ん····今日は嫌だ。お前らの、歯止めがきかなくなりそうだからな」 「そう。じゃぁ、吐かない程度でヴェルが悦ぶやつしてあげるね」  そう言って、ノーヴァは俺の頭を両手で掴んだ。喉奥で留めては、嗚咽を漏らすと抜く。それを繰り返した。  確かに、吐かない程度で苦しくて、頭がボーッとして気持ち良いやつだ。 「ヌェーヴェル、喉奥気持ち良さそうですね。大丈夫ですか? さっきから何度も達してますけど」 「優しくしろって言っても、根本的にドMだもんね。多少キツい事されたほうがヴェルの身体は悦ぶし、いっくらでも快楽に堕ちてくんだよ」  ノーヴァの言う通りだ。俺が求めていたのは、遠慮で塗れたヌルいものなどではない。互いを想い合う、心が満たされるようなセックスだ。  そこでだ。想い合うのだから、俺だってこいつらを気持ち良くしてやりたい。 「お前らは、俺に何をされたら気持ち良いんだ?」  ヴァニルとノーヴァは顔を見合わせ、俺から飛び出た予想外の言葉に戸惑いを隠せないでいた。 「ヌェーヴェルが私達に何かシてくれるんですか?」 「ヴェルからキスもした事ないくせに?」 「僕は、ヌェーヴェルから抱き締めてもらったぞ!」  何を勝ち誇ったように言っているんだ。あれは、ノウェルの優しさにアテられて、俺の情緒がバグっていた所為だ。あの瞬間に、今抱いているような、想いが溢れて触れたいといった感情は無かった。 「何でもいいが、俺はお前たちに何かシてやれる事はないか? 俺は、その、そういう経験がないから言ってもらわないとわからない」 「ヌェーベルは、私たちにシたい事はありますか? 触れたい、抱きしめたい、キスをしたい····貴方がシたいと思うことをすればいいんですよ」 「ボクはねぇ、キスしてほしい」  遠慮と言うものを知らないノーヴァはキスを強請る。 「キスか····。わかった」  俺はノーヴァの頬に手を添え、そっと口付ける。キスなんて何度もしているはずなのに、自分からするというだけで心臓が爆ぜてしまいそうだ。  ほんの数秒で唇を離し、ノーヴァの目を見ながらそっと離れる。ノーヴァの唇に視線を落とすと、瞬時に自分でわかるほど頬が紅潮した。 「次は舌を絡めて」  そう言って、ノーヴァはベッと舌を出して見せた。触れるだけのキスで心臓がイカれてしまいそうなのに、そんな破廉恥な事を自分からできるのだろうか。  このヤワな心臓が根性を見せてくれることを期待して、少し開けて待っているノーヴァの小さな口に、ええいままよと舌先を差し込んだ。  いつもはされるがまま舌を絡めていたが、自分で絡めにいくとなると想像以上に難しい。 「ヌェーベル、後で私にもシてくださいね」  振り返ることができないので確証はないが、きっと嫉妬に歪んだ顔で言っているのだろう。   「ん、んぅ····」  俺のたどたどしい下遣いがじれったかったのだろうか。ノーヴァは、俺の両頬を手で抱え激しいキスをしてきた。いつも通りの、息ができなくなるやつだ。 「ふ、ぅ····ノー、ヴァ····待へ、んぁ、はぁっ····ふぇ゙····」 「なんだか苛つきますね····。もう動きますよ」  突くのを待ってくれていたヴァニルだったが、堪らずに動き始めた。  突き上げられるリズムに合わせ、身体が前後する。だが、顔を固定されているので、衝撃を逃がしきれず腹の奥に留まる。  ヴァニルが結腸口を叩く度に噴いてしまうので、ノーヴァもベッドもびしょ濡れだ。いつもなら文句の一つや二つ言うくせに、今日はお構いなしにキスを続ける。 「ノーヴァ、そろそろ放してあげないと、ヌェーベルが窒息してしまいますよ」 「はは、ホントだ。ごめんね、ヴェル。苦しかった?」 「苦ひぃ····けど、気持ちぃ····」 「ヌェーベル、奥挿れますね。もう我慢できません」  ヴァニルは、俺の腰を上からグッと押し、エグい角度でねじ込んできた。 「ひあ゙ぁ゙ぁぁ!! おっ、奥゙、腹裂ける!! 奥えぐらにゃいれぇ!!」 「お腹、破いちゃいましょうか。死なないでくださいね。根元まで挿れますよ」  ヴァニルは耳輪を噛みながら言った。   「ひぁんっ!!? 何··んぎぃぃ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁあぁぁ!!! 死ぬっ死゙ぬ゙っでぇ!!! ふぐぅあぁぁぁっ!!! 無理らって! いだい゙ぃっ!!」  潮なのか小便なのか分からないが、俺の意思では止まらない。腹の底が痛い。本当に裂けてしまったのだろうか。  痛いはずなのに、漏らすのとナカを擦られるのが気持ち良い。脳が麻痺しているのだろうか。それとも、吸血によるものなのだろうか。 「ヴァニル、それ本当にお腹裂けてない?」 「さぁ、どうでしょうね。ここまで挿れた事なんてありませんからね。ははっ、良すぎて加減が利きません」 「ねぇ、ヴァニル。ヴェル、トんでるよ。大丈夫なの?」 「んっ、死なない程度にしてますよ。ナカにぶち撒けたらすぐに回復します」 「ヴァニぅ····死んでもいい····からぁ、そのまま、ナカでイッて····あちゅいの、いっぱい欲しい······」 「はは····。バカもここまでくると、可愛いを超えて憐れですね」  ヴァニルが呆れているようだが、正直それどころではない。後ろ手にヴァニルの手に指を絡め、縋るようにヴァニルを求める。   「いいですよ。お望み通り、しっかり種付けてあげます。存分に孕んでください、ヌェーベル」 「んお゙ぁ゙ぁぁ!! 腹、あづい゙ぃ····ヴァニル、愛じでぅ····好きら。ごぇん。ノーヴァも、ノウェルも、愛してぅ····我儘で····ごめ······」  自分が何を言ったのかよく分からないが、身体の奥底からヴァニルの全てが欲しいと思った。それから、残念だが俺は孕めないぞ。  それにしてもまったく、どこが優しいセックスだ。これまでで、一番激しかったんじゃないか。  受けたことのない衝撃が、腹から脳へと駆け抜けた。  腹の辺りがじんわりと温かいのは、きっとヴァニルの回復魔法だろう。  薄っすらとした意識の中で、ノウェルが心配そうに俺を呼んでいる声が聞こえた。ノウェルだって、ずっとイェールに激しく犯されて、もう息も絶え絶えのくせに。  なんだか腹が立つから、イェールの目の前で、とびきりイチャついてやろう。なんて、意地の悪いことを考えながら、俺は意識を飛ばしてしまった。

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