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第2話

「んー、何にしようかなー、悩むなあ」 メニューを顔の前に開き、なかなかメニューを決めかねている...視界は塞がれている、今のうちに...。 そ、と席を立とうと目論んだ。 「パスタとオムライス、どっちがいいと思うー?」 「え?」 「だからー。パスタとオムライスどっちがい」 「どっちでもいいんじゃないですか?」 思うず、語尾は遮った。 「それが、どっちも食べたいから困ってるんだよねー。んー、太っちゃいそうだし、食べきれるかなあ...。すみませーん!」 デカい声で手を挙げ、ウェイトレスを呼んだ。 「このー、明太子ときのこのパスタとー、このチーズが載ってるオムライス。残したら食べてね?」 最後はメニューから顔を出し、あっけらかんと口元に笑みを浮かべ、なんて事ないようにそう言った...。 残飯係かよ。俺。 黒目がちな瞳、何処と無く、中性的かな、とは感じはするが、特別、女っぽい、て訳でもない見た目。 普通に女受けもしそう。 俺はというとタッパデカいし、あんまり表情を表に出さないし、目つきが鋭い。 そこがいい、て女も案外いる。 「うわあ、来たきたー!」 テーブルに料理が並べられるなり、写メを撮りだし、女子か!とツッコミたくなる。 「おーいしそー!いただきまーす!」 はち切れんばかりの満面の笑顔で手を合わせ、フォークにくるくる!とパスタを巻き付け、大口開けてパクリ。 「んー!美味し!」 パスタを食べて、スプーンに持ち替え、オムライスを掬い、またもやパク! 「んん!チーズがまろやかー!」 1人で浮かれ気味で舌鼓をうつ相手をたまに見ながらコーヒーを啜る。 「あー...ヤバい。お腹、苦しくなってきたかも」 そして、 「はいっ」 それぞれ半分くらいに減ったであろう料理を滑らせてきた。 見ず知らずの相手の食いかけを暫し、睨む俺。 相手はご満悦な様子で水で喉を潤している。 ....勿体ないし、美味そうではあったし、とりあえず食べる事にする。 「あー、スイーツ食べたいかも」 またメニューを手に取った。 「....腹いっぱいなんじゃ無かったですっけ」 「んー?スイーツは別腹」 てへっ、と舌を出しておどけてる。 ...女子か、マジで。 「あー、ヤバいなー、悩むー」 ....スイーツ、か。 女と一緒でも1人の時も、なーんか頼みづらいんだよな。 「決ーめた!すみませーん!」 またもや、手を挙げ、ウェイトレスを呼び、 「ニューヨークチーズケーキとー、この苺のタルト、くださいっ」 「セットでお飲み物が付きますが...二杯」 「だって、なんにするー?」 とっくに知り合いだった感...なんなのコレ。 「....アイスコーヒー」 「アイスコーヒーと、アールグレイ!コールドで!」 愛想のある笑顔でウェイトレスに告げると鼻歌を歌いながらメニューを閉じた。

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