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第3話

ニューヨークチーズケーキと苺のタルトが運ばれてくると、 「わあ!美味しそ!」 とまたもやスマホで写メ撮ってる...。 「どっちから食べよっかなあ」 随分、嬉しそうに瞳を輝かせ、ニューヨークチーズケーキにフォークを入れ、パク、と1口。 「んー!美味し!」 俺の片眉がぴく、と動く。 ....確かに美味そう...。 特にあの苺タルトのあの苺、完熟なんじゃね!?てかあのてり具合、なに!? 美味しいですよ、食べてください、て語りかけるかのような輝き...! 苺のタルトを頬張った相手は柔らかそうな頬っぺたを抑えてる。 「苺、あまーい!ショートケーキの苺もさ!?つい、最初に食べちゃうよね!?ね!?ね!?」 ....いや、俺は最後に残しとく派だが。 「あー、美味し!でも明日からアレだなあ、食事制限しなきゃかなあ?」 ニューヨークチーズケーキ食いながら尋ねてくるが....知らんがな。 てか、美味そうだな。 「....食べたいの?」 思わず視線を逸らす。 「はい、あげる」 まだ半分以上はあるニューヨークチーズケーキの乗った皿をフォークを添え、滑らせてきた。 「あ、美味い....」 が、あの苺、美味そうなんだよなあ...。 そこからは無意識だった。 味わって食べている様子の苺タルトの皿も手繰り寄せ、勝手に食べた。 「あ、やっぱり完熟!んっま」 パクパク、苺タルトを食べていて、は、とした。 向かい側で、お菓子を2つとも取り上げられ子供のように切ない瞳で俺を見つめてた。 「あ、悪い」 慌てて、苺タルトの皿を返そうとした、が、 「....もういいよ」 「なに?拗ねてんの?」 「....それ、食べていいから店、出たら付き合って」 「....え?」 まさかの...? 相手が身を乗り出し、真剣な眼差しで切り出した。 「カラオケ!」 「カラオケ?」 さぁっ、と血の気が引いた。 カラオケの密室で...襲われる...? 「もうね、3日行ってないの。あ、でも、5人いたからさー、殆ど歌えなくって聞き専的なー」 ....単なるカラオケ好きか。

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