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押し倒してみた
いきなり俺に床に倒され、目を白黒させてる。
「ど、どうしたの、孝介。ノンケでしょ」
「....ちょっと確かめさせて」
「確かめ、え?」
俺は勢いよく、蓮の体に程よくフィットしてるプリントの入った濃いパープルのTシャツを首元まで捲りあげた。
見下ろした先は....乳首。
俺とそう、変わらない。
ぺったんこな胸。
かああ、と蓮の顔が再び赤くなっていき、恥ずかしいのか顔を横に背けた。
まじまじと凝視し、似てはいるが...。
ピンク色の乳頭が少しポテッと大きめな、女の乳首を小さくしたみたいな乳首。
「....エッロ」
「え」
「男に吸われまくりました、て乳首してんね」
そう言い終えると、Tシャツをきちんと元に戻し、元いた場所に座る。
暫し呆然としていた蓮がかなりの時間をかけ、上半身を起こした。
「....今、なんて....」
「男に吸われまくってんだろうな、て乳首だね、て」
俺が凝視した左の胸をTシャツ越しに手のひらで抑え、震えてる。
「ち、がうし」
「違う?」
「す、吸われまくってなんかないし!」
「そうなの?」
なんだか蓮がそわそわしだした。
「そ、そりゃ、乳首は気持ちいいよ?気持ちいいけど、そんな...」
無意識なんだろうが、左手で摩ってる。
...あー、こいつ、女だったらとっくにやってんな。
セックス。
拒むかどうかは知らんが、頬を染め、俯き気味に、乳首気持ちいいけど...とか、女なら完全に誘ってる感じだし。
「なあ、左手で乳首弄るなよ、人の家で」
「い!弄ってませんー!!!」
慌てて、左胸にあった手のひらを退けて叫んだ。
その後も、もーなんなの、意味わかんないんだけど、とブツブツ独り言、言ってる。
「まあ、男のわりにいい乳首してると思うよ。乳房あったらまだ良かったね」
「ぜっっったい!女友達に紹介出来ないー!こんな目に遭わせるなんて!」
「や、女ならそんな事してないし、しないから」
「....じゃなんで?」
「ゲイの...あ、あんた、なんとなく、女役だろ?どんな体してんのかなあ、て。ただそれだけ」
「た、ただそれだけ、て...」
屈辱なのかわなわなと震えてる蓮に苦笑する。
「同じ男に乳首見られたくらいで。そんなに気になるなら海やプールの時の水着、ビキニしか無理じゃない?」
空になった酎ハイの缶が飛んできた。
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