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第11話

不意に蓮の視線が俺に移動するなり、笑顔を見せた。 「あ、もう来てたんだ!?あと少しあるからゲームでもして待ってて貰ってい!?」 「ああ」 そうして、暫し、久しぶりのUFOキャッチャー。 滅多にした事ないんだが...。 驚いた事に簡単に取れた。 昨夜、取りやすいように配置変えてる、てガチだったんだな...。 途中、別の女性店員が袋を渡してくれ、計4個、取れた。 「お待たせ!」 俺が貸したシンプルな黒のTシャツにデニム姿、昨夜着ていた服を入れる為に貸した服屋のビニールを手にした蓮が現れた。 俺は派手な色とか苦手だし着ないけど、蓮は昨日も濃いパープルのTシャツに黒のデニムだった。 明るい色のが合うな、こいつ。 「いっぱい取れたみたいだねー」 「まあなー」 多分、殆ど、お前のお陰なんだけど。 「10分くらい歩くよー」 暫し二人で並んで歩いていると、嗅覚を誘う匂い...。 座敷に案内され、向かい合い座る。 「とりま、ビール?」 「んー、レモンサワー」 先に飲み物を頼み、コースが来るのを待った。 「ほい、これ」 蓮に1つの袋を差し出した。 「?なに?」 「服」 「僕に!?開けてい!?」 瞳をキラキラさせながら見上げてくるが...。 「や、駄目だろ。焼肉の匂いがつく」 「あ、そっかあ...」 残念そうに口を尖らせた。 「あとこれも」 UFOキャッチャーで取れたぬいぐるみ達。 袋にはゲーセンの名前が入ってる。 「え。せっかく取れたのに」 「退屈しのぎだし。それに俺、ぬいぐるみを置くの嫌だしさ」 ふふ、と蓮が笑う。 「確かに。似合わないね、孝介にぬいぐるみ。...じゃ、1つだけ、孝介にあげるから、どれか選んで?ぬいぐるみが取れた記念!」 「...どんな記念だよ」 ボヤきながらも、馬のぬいぐるみを1つ貰った。 「お待たせしましたー!」 「わ!来たきた!」 肉の盛られた皿がテーブルを埋め尽くしていく。 「とりま、タンからでしょ!」 蓮がトングを使い、網にタン塩を並べ始める。 互いにタレに付け、パク。 「ん~~~!」 蓮は瞼を閉じ、頬っぺた抑え、ご満悦な様子。 「なんで焼肉、てこんなに美味しいんだろ」 焼肉の間、何回、蓮から聞いただろうな。

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