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第12話

カルビにロース、着々と蓮が焼いていく。 「ん」 蓮からトングを取り上げた。 「あ!焼いてる最中だったのに!」 「焼肉奉行かよ、お前は。焼いてないで食え、ほら」 蓮の皿に肉を二切れ乗せた。 「じゃ、お言葉に甘えて...ん~~~!」 いちいち頬っぺたを抑える姿に思わず笑う。 「ほらほら!孝介も食べなよ!」 俺もカルビをパク。 「んまいなあ」 「聡美に感謝だなあ」 「聡美、て子に貰ったの?券」 「うん、そう...・ 。 あ!」 肉を箸で持ち上げながら。 「なに」 「紹介しないからね!」 「別に構わないけど」 「....胸、おっきいよ?」 「んー、今は焼肉の事しか考えられない」 俺を見つめたまま、口元を抑えて、ぷ、と笑った。 「...なに」 「や、もしさ、告られてさ、ごめん、焼肉の事しか考えれない、て言われたら、ぽっかーん、てなりそう」 俺も肉にタレを付け、手元を見たまま、 「だな、焼肉に負けたの、てなるな」 「焼肉に負けたんだー、て傷ついたりはしないだろうねー」 そう言って、ロースを蓮が頬張った。 その姿を暫し見つめた。 「....傷ついたの、蓮は」 「んー?なにがー?」 「あー、だから、こないだ、さ」 蓮が少し動揺したのがわかった。 「あ、あれか。ぜーんぜん!僕の事、ちっとも信用してないんだもん!スッキリしたー、別れて!」 そう言うとレモンサワーを煽る。 泣いてた癖に...寝ているのに、大地、て奴を思い出しながら泣いて。 「....あんま、無理すんなよ」 「なにが。ってか、野菜も焼こ!?肉ばっかだと偏る!栄養!」 トングでピーマンや玉ねぎ、人参を並べ出した。 「俺、ビール、お代わりするかな、お前は?」 「え、あ、なんにしよ」 メニューを見ながら、一通り、サワーや酎ハイを口にする。 「青りんご!青りんごがいい!あと、白ご飯も欲しいかも!」 「良く食うな、お前」 「焼肉、食べてたら白米、欲しくなるじゃん!一、二杯で充分だけど」 壁際にあるチャイムを押した。

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