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唐突すぎるがあいつらしい...

翌朝。 1人でホットコーヒーにトーストといった簡単な朝食を摂りながら何気なく付けたテレビを眺めていた時だった。 突如、インターフォンが鳴り、朝っぱらから誰だ?と思いながらモニターを見ると宅配らしい。 なにか注文したっけ、と小首を傾げながら玄関を開けた。 「川島様のお宅でしょうか」 「...そうですけど」 ...宅急便というより引越業者じゃないか? 「藤田様よりお荷物です」 その一言を皮切りに3人の作業員がダンボールや少しの家具を室内に入れていく...。 「ああ、そういえば....」 昨日、引っ越してこい、て蓮に言ったっけ。 ....にしては早技すぎだろ。 室内にてんこ盛りの荷物を置いて、作業員は頭を下げ出て行ったものの...。 しばらくして現れたのは、蓮本人。 両手いっぱいにスーパーの買い物袋、斜めがけしたボストンバッグ。 「....家出少年か、お前は」 「え?昨日、孝介が引っ越してこい、て言ったんじゃーん。アパートの契約解除までは日にちがかかるみたいだから先に荷物持ってきた、あ、悪くなったらいけないから冷蔵庫に入れるねー」 そそくさと冷蔵庫を開けた蓮は、 「うわ、なんもない!」 と仰天してからせっせと一部は冷凍庫に。 「何日ぶんだよ、一体」 「あ、材料?保存しとくと便利だよ?安売りしてたから。簡単だけど後でちゃんと冷凍保存しなきゃ」 「朝っぱらから引っ越し業者が来て何事かと思ったっつーの」 「あー、うん。昨夜、帰ってからね、友達に手伝ってもらってー。ほら、ベッドは2つも要らないじゃん、てリサイクルショップに売り行ったりー。女友達やゲイの友達に引っ越しバレたら嫌だから、ノンケの男友達に手伝ってもらったの!偉いでしょ!」 ....偉いのかどうかはわからんが、笑顔はまあ、可愛いから許すとするか。 「にしても助かったー。孝介が引っ越して来い、て言ってくれて!」 「...?なんで?やっぱり家出?もしくは家賃滞納か?」 「な訳ないじゃん。大地がさあ、ちょくちょく来てて、だから助かったな、て」 「大地、て、元彼の?」 「そう。僕を浮気者認定して、カフェに置き去りにしたあの男。めちゃくちゃ恥ずかしかったし、ここ何処?て感じだったからめちゃくちゃ困ったってのに」 「....なるほどな、そうだったのか」 「うん。だから孝介にはホント感謝してる」 「で、その大地、て奴、家に上げてなにしてたの?」 不意に蓮が顔を上げた。 なにやらニヤついてやがる。 「なにー?嫉妬?」 「は?いや、そうじゃなくて単純にさ」 ...若干のジェラシーが無くはないかもだが。 再び蓮は冷蔵庫に材料を詰める作業に取り掛かりながら。 「僕がいなくなって寂しいだとか、飯が不味いだとか?僕の料理が食べたいとか、なんか色々」 ...めちゃくちゃ蓮への未練だな。 それだけ今も大地、て奴は蓮が好きだってことなんだろう。 蓮次第でやり直しがきくかもしれないだなんて蓮本人に教えてやる程、俺は優しくはなれなかった。

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