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第28話

「とりあえず映画でも観たら帰宅する?」 隣を歩く孝介に言われ、 「うん!」 と頷いた。 「あ!でも!」 「ん?」 「映画の前にスイーツ食べたい!」 意気揚々とそう言ったら孝介は屈託なく笑った。 お昼の鴨南蛮そばも美味しかったけど! スイーツは別腹! 通りかかったカフェに入り向かい合い座る。 メニューを見たらキャラメルソースのケーキに目を奪われた。 孝介は、 「抹茶のミルクレープ?美味いのかな」 怪訝な面持ち。 「じゃあさ!シェアしない!?僕もそれ気になる」 「だな」 そうして、変わらず孝介はケーキと共にコーヒーを頼み、僕はアイスティー。 運ばれてきたケーキに目を輝かせてしまう僕。 つい、キャッキャ言いながら写メ撮ってたら孝介も運ばれてきたケーキをスマホで撮影していた。 「孝介もインスタ始めたの?」 昨夜の僕の作った天ぷらも孝介は写メに撮っていた。 「うん。お前が作った弁当からかな。国旗みたい、て評判だった」 「国旗...」 思わず、ぷ、と吹き出し、口元を抑えた。 孝介が撮影していた僕の作った三色弁当。 確かに国旗に見える...。 そうして、ケーキに舌鼓をうった。 相変わらず、 「うーん!おーいしー!」 咄嗟に瞼を閉じ頬っぺたを抑えてしまう。 「このなんだっけ?ミルクレープだっけ。美味いよ、ほら」 孝介が二口程食べた抹茶味のミルクレープを勧めてきて、フォークを入れた。 「....んー!おーいし!」 孝介も僕の頼んだケーキを食べ、 「うわ。美味いな。コンビニで見たことないかも」 ....デート、てこんな楽しかったっけ。 浮ついた気持ちが抑えられない! と思いきや、突然、スマホが鳴った。 「....誰だろ」 大学の友人かな、と思いきや。 「どうした?」 「え?あ、ううん。迷惑メール」 「ああ、なるほどな」 ....本当は着信拒否、ブロックしたはずの大地からだったんだけど。 わざわざ共通の知り合いのスマホから連絡してくるとか...。 孝介には言えない...。 腕時計を見た孝介が 「そろそろ移動するか?」 「うん」 ケーキを食べ終え、映画館のあるモールへ向かう為に車を停車させていたコインパーキングへと向かう。 大地にはっきり彼氏が出来たから連絡しないで、て話していいのか、よくわからない...。 孝介に迷惑かけたくないし...。 運転する孝介の横顔を眺めた。 「なに観る?アクション?ラブストーリーでも別にいいけど」 今は悩んでるのがもったいない気がする...。 孝介とのデートに集中しよう、楽しもう、と僕は心に誓った。

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