30 / 38
デート!続編
「ほら」
「ありがと」
さりげなく孝介が食器類の入った紙袋を持ってくれ、帰宅まで街ブラすることにした。
なんとなく目に入ったお洒落なキッチンカーに目を奪われた。
「いちご!いちご飴だって!」
思わず孝介の服を引っ張りピンク色で苺の模様が入った、「いちご飴」と登りがあるキッチンカーを指差した。
「いちご飴?りんご飴みたいな感じ?」
「まだ僕も食べたことないんだー!けど、たぶんそう!孝介も苺、好きでしょ?」
一瞬、間の抜けた顔で見つめられたが孝介はすぐに屈託なく笑んだ。
「苺のショートケーキの苺。蓮は真っ先に食べるタイプだったな」
ああ、と以前の何気ないカフェでのやり取りを思い出し、僕も釣られて笑った。
「孝介は最後に食べるタイプだったよね」
そうして。
「二本!二本ください!」
僕が財布を取り出す前に孝介が支払ってしまった...。
「...僕が出したかったのに」
「別にいいじゃん。俺も食ってみたかったし。てか焼き鳥の苺バージョンみたいだな」
並んだ苺が串に刺さってる様は確かにそうも見えてまた僕は笑ってしまった。
「あ、待って待って」
「ん?写メ?」
「うん。そう!」
「だったらたまにはツーショットとかは?」
「...え?いいの?」
いちご飴を撮影した後は並んで笑顔の僕たちを撮影。
「SNSとかには上げないから安心してね」
「別に上げてもいいんじゃね?」
「....え?でも...」
「俺もそろそろ蓮とのこと話すかなあ、とか思ったりしてたからさ」
「そう...なんだ」
思わず、孝介を見上げた。
「いつまでも蓮を家政夫にしとく訳にいかないし」
「そんなことないよ。好きでやってるもん。家事や料理、昔から好きだし...でも、アレだな、加工のアプリ、女友達から教わってDLしたけど、上手く使いこなせない...」
途端、ぷ、と孝介が吹き出した。
「加工?何処を」
「えーっ...。こう、頬や顎をシャープにしたり、目をでっかくしたり?」
「いいよ、そんなの。やんなくて」
「そ、そう、かな....」
「うん。てか、うまっ。蓮もほら早く食べな」
「うん!」
パク、いちご飴を頬張るわ否や、
「あっまー!美味しい!凄いね、これ!」
二つ目を口に入れた途端、ん~っ!と瞼をきゅ!と閉じ、頬っぺた抑えてた。
「癖だよなあ、それ。なんか可愛い」
唐突に可愛いと言われ顔から火が出るかと思った。
孝介と並んで歩きながら楽しいデートももう夕刻。
帰宅したら夕飯はなににしようかと話していた時だった。
「蓮!」
不意に誰かに呼ばれた。
聞きなれた声に振り返る。そこにはまさかの元彼、大地の姿があった。
ともだちにシェアしよう!