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第33話

大地はこの店のオーナーらしいかなり背が高い金髪碧眼のイケメンに担がれ奥へと運ばれていった。 「にしても孝介がこっちの世界に来るとはねえ」 類さんがグラスを片手に笑んだ。 「変な言い方やめてくださいよ、類さん」 「あ、蓮くんだっけ?安心して。君のあの元彼。起きたら相談乗ってあげて良さげな子、紹介しといてあげるから」 驚いたことに類さんもゲイだった。 「あ、でも案外、大地、光くんとかタイプかも...気をつけてね、光くん」 カウンター内の光くんに声を掛けると、 「え?俺?」 皿洗いしていた光くんが丸い目を向けてきた。 「愛嬌があってあどけない顔立ちがなんとなくタイプかな、て」 「心配しないでください!」 唐突に晶くんが割り込んできた。 と同時に類さんが吹き出し笑った。 「うん、安心して。二人付き合ってるから」 思わず、えー!と叫んでしまった。 光くんもあどけない顔立ちだけど晶くんも可愛らしい顔立ちで、高校生と言われたら真に受けてしまいそうなくらい二人とも小柄で華奢でなんだか幼い。 「二人ともウケっぽい!意外ー!」 「まあ、元はネコとネコだったんですけど。なんだかんだで」 「同棲してますし!なんなら指輪も交換してるくらいなんで!」 晶くんが声を張る。 「うん。もし大地くんがどちらかを口説こうものなら僕も容赦ないしね。まあ、大丈夫だよ。蓮くんに見向きしないよう、いい子を宛てがってあげるから」 「てか、蓮。デザートは?」 不意に孝介が話しかけてきた。 「デザート...?」 「パンナコッタ、ティラミスとかは?」 類さんからの提案に、 「食べたいです!」 「類さん、お持ち帰りとかって出来る?」 「うん。出来るよー。まあ、なんかあったらいつでもおいでよ」 「僕もまだ色々食べてみたいし、是非!」 類さんがにこ、と微笑んでくれ、僕はパンナコッタとティラミスの入った小さな白い箱を受け取った。 「何処で食べるの?」 店を出て、すっかり夜になった街頭はあるものの薄暗い街路樹を孝介と並んで歩く。 不意に、空いていた左手が握られ着いた先に目を奪われた。まさかのラブホだったから。 初めてな訳でもないのに今までにないくらいガチガチに緊張する僕でした...。

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