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俺達の記念日⑦
「・・・あき?」
寝たふりを決め込んだ俺を覗き込んでるのがわかる。
「・・・具合悪い?」
ひんやりした手が頬に触れる。もうこの際、仮病を使おう。
そうすれば、少しは俺の気も落ち着く。俺を心配して俺のことだけを考えてくれるはるがいてくれる。
ああ、そっか。俺ははるに構って欲しいのか。
ここのところ、時間もすれ違いだったし、ちゃんと話もしていなかった。
はるは3号店を計画していて、大介さんの所に入り浸りだったしな。
俺もそれなりに忙しくて寝る時でさえ時間が合わず、抱きしめて眠ることがなかった。
はる不足がここに来て嫉妬で爆発してる。
「ごめんね、あき。無理して連れて来てしまって・・・」
隣で座るはるは独り言のように話し始める。
朝からまともに口を聞いていなかったし、心配してくれてることが嬉しかった。
「パーティの後・・花巻さんに飲みに誘われたんだけど・・・どうしよう・・・」
飲みに誘われた?
行く気なのか?
明日は俺達の記念日なんだよ?
それって俺の心配じゃなくて、飲みに行けるかの心配なんじゃない?
なんだかな・・・もう。
薄っすら目を開け背中を向けたはるの姿を見る。
誰かに連絡してるんだろう、スマホを操作してるみたいだ。
その腰に腕を回した。
「俺のことは気にせず行っておいで」
本当は行って欲しくない。俺のそばにいて欲しい。
はる・・・
「あき、大人しく寝ててくれる?早めに切り上げてくるから」
やっぱり行くんだね・・・
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