7 / 20

俺達の記念日⑦

「・・・あき?」 寝たふりを決め込んだ俺を覗き込んでるのがわかる。 「・・・具合悪い?」 ひんやりした手が頬に触れる。もうこの際、仮病を使おう。 そうすれば、少しは俺の気も落ち着く。俺を心配して俺のことだけを考えてくれるはるがいてくれる。 ああ、そっか。俺ははるに構って欲しいのか。 ここのところ、時間もすれ違いだったし、ちゃんと話もしていなかった。 はるは3号店を計画していて、大介さんの所に入り浸りだったしな。 俺もそれなりに忙しくて寝る時でさえ時間が合わず、抱きしめて眠ることがなかった。 はる不足がここに来て嫉妬で爆発してる。 「ごめんね、あき。無理して連れて来てしまって・・・」 隣で座るはるは独り言のように話し始める。 朝からまともに口を聞いていなかったし、心配してくれてることが嬉しかった。 「パーティの後・・花巻さんに飲みに誘われたんだけど・・・どうしよう・・・」 飲みに誘われた? 行く気なのか? 明日は俺達の記念日なんだよ? それって俺の心配じゃなくて、飲みに行けるかの心配なんじゃない? なんだかな・・・もう。 薄っすら目を開け背中を向けたはるの姿を見る。 誰かに連絡してるんだろう、スマホを操作してるみたいだ。 その腰に腕を回した。 「俺のことは気にせず行っておいで」 本当は行って欲しくない。俺のそばにいて欲しい。 はる・・・ 「あき、大人しく寝ててくれる?早めに切り上げてくるから」 やっぱり行くんだね・・・

ともだちにシェアしよう!