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俺達の記念日12

はるが内田さんに心を許して話たこと。 俺が知らないところで思ってることを打ち明けてる。 そこにはるが内田さんに心を許してるってことが伺える。 嬉しいけど、知らないことは面白くない。 俺を甘やかしてくれるこの人だからって気持ちをこじつける。 「内田さんも出版の話知ってたんですね」 ああ、というように頷く。 「そうだね、業界にいるからね。花巻さんが口説き落としたんだよ」 はるを口説いたの?? 「誤解しないでよ、あくまで美容師としての七井さんに惚れ込んだって話だから」 そうじゃないと困る。許さない。 「そんな怖い顔しない。口説かれても落ちないでしょ、あの人。あきら君のことしか考えてないんだから」 そうじゃないと困るけど、側から見てもそうなのは嬉しいかも。 「独占欲丸出しのあきら君もそそるけど、それじゃ七井さんがちょっとかわいそうだよね。どう見てもあれは仕事だし。頑張ってるじゃん、七井さん」 「昨日の夜からずっと彼奴のパンフ抱えて幸せそうだったんですよ、はる。今朝もずっと」 「そりゃ、誰もが憧れる花巻さんとコラボ本出せるんだから嬉しいよね。それと気合い入れてたんじゃないの?このパーティに」 次に繋げる接待だって言った。自分の技術が評価されるのは嬉しいって口癖のように言ってる。 はるは仕事してるのか・・・俺に見てて欲しくて。 「健気でいじらしいよね」 はるを目線で追いながら呟いた。 「ヤキモチ妬いてグルグルしてるあきら君もいじらしいけどね〜」 振り返ったはると目が合って左手を上げた。 堪らなく嬉しそうな表情は俺に想いを向けてなんだって胸が締め付けられる。 「幼稚ですね、俺」 「年相応って言うか、愛し合ってんだなって痺れるけどね〜」

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