15 / 20

俺達の記念日15

「あれ、ほっといていいの?」 ホテルのBARってここしかないからまあ想定内だよね。 カウンターに座るはると彼奴の背中を見ながら内田さんが小声で言ってくる。 そこまで小声で近づかなくてもあのふ2人には聞こえないだろうけど。 「いんですよ。はるは仕事してるので」 「あら、さっきとは打って変わったね」 テーブルに置いた俺のグラスにカツンっとグラスを合わす。 「嫌だけど・・仕事だから」 「それでいんじゃないの?嫌じゃなきゃ恋人としてどうなのって思うし」 内田さんこそさっきとは言ってることが違う。 「俺がここにいることはるは知ってるので」 行き先は確認済みだし。 「安心?」 「まあ、お酒が入ってますからね」 彼奴はカウンターに肘を置き、もう片方ははるの座る背もたれに置いてる。 足ははるを挟むように開いて、覗き込むようにはるの横顔を見つめては話す度耳元に近付く。 距離を考えてるんだろう、お酒を頼んだりバーテンダーを会話に入れてる。 近くなれば腕やら肩やらをさりげなく押して躱す。その度彼奴ははるから体を離す。 それにしても飲むペースが速い。いくらはるが強いっていっても酔わないわけはない。 「あきら君足長いね」 ソファに踏ん反り返って足を組んでる膝を撫でてくる。 「内田さんとそんな変わらないですよね」 「パーツが違うんだよね、膝下が長いよね〜」 指先でツツっと触る感触にゾワっとした。 「お酒はいいよね、何をしても許される」 酔ってたって言えば許される訳じゃないけどね。 カタンと音がしてカウンターに目をやればはるが椅子から降りた。 落ちかけたってほうがあってるのかもしれない。 その身体を奴が支える。 その時、バーテンと目配せをしてニヤついたんだ。

ともだちにシェアしよう!