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第3話
休んでいいとは言われたが、この男が誰が知りたかったからルキアは後ろからそうっと覗きこむ。
診療記録=カルテを記入している、1番上に書いてる人物の名前があると思ったからだ。
(あったあった! 何語かわかんないけど…読める! さすがゲーム! えーっと、ディーン先生か…)
「ん? どうしたルキア? 休んでていいぞ! 」
「あ、はい。いや、ちょっと書き方を勉強しようと思って…」
「お前がか? そんなのしなくてもお前は記憶力がいいから見ただけで覚えるだろ? 」
(えっ? そうなの? 確かに現世でも暗記力はある方だけど、見ただけで覚えるってのは…)
ルキアは少し顔をあげ、さっきディーンが書いていた内容を思い出してみた。
(あれ? 全部覚えてる! これは魔法なのか? 暗記力が上乗せしてるだけか? )
「どうした? なんか変だぞ? 」
「い、いや、大丈夫ですよ! ところでディーン先生…」
「本当にどうした、改まって? ディーン先生なんて? いつも兄貴としか呼ばないのに? 」
(えっ? そうなの? どんだけルキアは敬意を示さない奴なんだ? )
「改まって呼ぶって事は…お前、またなんか悪いことしたのか? 」
疑う様にルキアの顔を見る。
「ち、違いますよ! ちょっとふざけただけで…俺、そんな悪い事してますか? 」
ルキアは自分がどうゆう人物としてここにいるのか不安になった。
「してるだろ? 令嬢の肌荒れを無料で治し、こっそり食べ物もらってきたり、お偉いさんのいぼ痔とかを治し、食べ物もらってきたり、狩人の浅い傷を治して、食べ物もらってきたり…」
ディーンが指を折りながら1つ1つ上げていくので、慌てとめる。
「分かりました! 分かりました! すいません、気をつけます! 」
(なんだよ俺、全部食べ物じゃん…どんだけ食べるんだよ…)
「まあ俺は国に税金納めなきゃいけないから大した金はないが、お前に飯をあげる位はもらってるぞ? 程々にしとけよ」
「はい…」
ルキアは神妙に頷き自分の部屋に入った。
「はぁー危なかった! ルキアになりきるには早めに色々覚えなきゃな! 」
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レンがルキアになってから一週間が過ぎた。
この一週間ルキアは色々見て、聞いて、この国の事を覚えるのに必死だった。
(もう一週間がたったのか、早いな…まだ宮殿に行くルートはわかってないんだよな…でも、大分わかったぞ! )
この国はアデウス国といって隣国の中で1番力を持っているらしい。
国民全員が魔法を使える訳ではなく、産まれた時に授かってる者だけが扱えるらしい。
法律で悪用すると罰せられるから公に悪用してる物はいないが、裏では色々ありそうだ。
ルキアが持っている魔法は痛みを取り除ぞく魔法、少しの怪我を治癒する魔法、姿が消せる魔法だ。
この姿が消せる魔法は使える者は少なく、ディーン曰く今までいないそうだ。
ルキアも誰にも言ってはないから、ルキアみたいに使えても悪用されないよう黙っている者がいるかもしれない。
記憶力がいいのは現世からの影響で磨きがかかってるのか魔法かは定かではない。
今の国王は国民から高く税を取っていて、国民には嫌われている。
この国王には、王妃との間に第一王子、第三王子、第一王女、第五王子の4人の子供、側室との間に第二王子、第四王子の2人の子供がいる。
王妃は数年前に亡くなり今は側室が政務に参加してるという噂だ。
国王はこの側室の嬪妃の言いなりという噂。
だが王位継承権は嬪妃の第二王子より王妃の第三王子の方が上らしい。
第一王子が病弱の為長くは政権を握れないであろうと思われている。
その次が第三王子だが、嬪妃が自分の第二王子を優先しろと国王をつついているらしい。
魔力が強い方が優位とも言うが第三王子は水を操り、第二王子は火を操る。
どちらが上かは判断がつかないようだ。
今宮殿内は派閥争いで大変だという。
「さて大分わかったが、今のままなら第三王子は国王になるんだよな? じゃあ俺が宮殿に行かなくても良いのでは? でも、俺も何か関わらないと、知らない所で第三王子が国王になっても、ゲームクリアにはならないよな? 」
ルキアは眉間にシワを寄せて考える。
「消せる魔法でこっそり宮殿に入るか? でも長時間じゃあないんだよな…」
この消える魔法を試してみたが、実質5分位しか持たなかった。
「訓練すると長くなるのかな? でも訓練の仕方もわかんないじゃん! 魔法の教科書とかないのかな~? 」
ルキアは一週間何も変わらず少しにヤケになってきた。
その時、ディーンの呼ぶ声が聞こえてきた。
「おい、ルキア! ちょっとこい! 」
「兄貴、どうしたんですか? 大声だして? 」
「ルキア、朗報だよ! これを見ろ! 」
ディーンは興奮して1枚の紙を見せてきた。
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