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第4話

ディーンが見せてきた紙にはこう書かれていた。 『アデウス宮殿にて~侍医求む。17~20歳までの男女。試験合格者男1名。女1名。 家柄不問。実力のみ。』 「兄貴これって? 」 「ルキア、受けてみろよ。こないだ宮殿の事色々聞いてきただろ? 興味あるならいい機会だぞ! 」 どうやら、少し前にこの国について色々聞いたのを勘違いしてるらしい。 (兄貴勘違いしてるけど、チャンスだよな? これに受かれば宮殿で働ける! あっ、でも…) 「兄貴年齢20歳までになってるから、俺は無理じゃないのか? 」 「はっ? 何言ってるんだ? お前こないだ18歳になったばかりだろ? 自分の歳も忘れたのか? 」 「えっ? あっ、そうです! そうです! 18歳だったよ! 」 ルキアは慌てて言い直した。 (そっか、見た目が同じでも年齢が同じとは限らないのか! ) 「お前最近おかしいな? 大丈夫か? 」 「大丈夫です! ちょっと疲れてるだけで。でも俺がこれを受けたらここの診療所は人が足りないんじゃあ…」 ルキアが見てる限りディーン診療所は忙しい。 ルキアが居なくなって1人で回せるとは思えない。 「大丈夫だ、数日で妹のメイカも帰ってくるし。アイツはお前より魔力使えるからな」 「ちぇ、俺だってもう少し勉強すればあと数個は習得出来ますよ! 」 「はは、ヤキモチ焼くな。 その腕を宮殿で使って出世してこいよ! 」 ルキアはディーンの応援に嬉しくなった。 「兄貴…ありがとうございます! 俺頑張ってみます! 」 __________________ 試験当日 ルキアは宮殿の入口の門の前に立つ。 「よし、ここで受かれば第三王子を近くで見る事が出来るかもしれない。ゲームクリアの1歩前進だ! 」 ルキアは申し込み用紙を門の兵に見せ中にはいる。 「うわ~…」 一言声をあげて黙ってしまう。宮殿の中はルキアが想像してるより広く色々な人が歩いている。 (凄い…俺こんな所で働けるのかな? ) 不安になりながらも案内してくれた場所に座る。 メインの建物の前の広場にシートと机が置かれている。 この時代は電気とかがなく明るい時間に外で試験をするようだ。 試験の時間にはまだある。緊張してきたルキアはらトイレに行きたくなった。 ウロウロしている試験官らしい人に、 「あの~トイ…違う…用を足す場所はどこですか? 」 「ああ、あっちに行って左だよ」 「すいませんありがとうございます」 ルキアは急いでトイレの方に走って行く。 「えっーと、左に曲がって…えっ? どこだろう? 」 この時代にはトイレの男、女マークがなく、パッと見ただの扉でしかない場合が多い。 「でもこんな広い宮殿だから流石にマーク位はないかな? 」 ルキアはウロウロしながらそれらしき扉を探した。 「あっ、あれかな? 小さな建物だし扉が2つある…」 ルキアは急いでその扉に近づき開けた。 「えっーと、トイレ…トイレ…あれ? 」 入って奥に行くとトイレはなく左右に古い本が棚の上まで並べられている。 「凄い本の数だ…トイレじゃないんだな…出てトイレ探すか」 とひの方へ戻ろうとしたら入口の方から声がした。 「…様、アルフ様! いらっしゃいますか? 」 声が大きくなってきて扉が開く。 (どうしよう…悪い事はしてないけど、見つかったら時間を取られて試験受けられないかも…) とっさにルキアは本棚の陰に隠れた。 「アルフ様? アルフ様ー! 嬪妃アリーン様がお呼びですよ! 」 (アルフ? …どっかで聞いたような…) ルキアが考えてると声の主はルキアの方へ近付いてきた。 (まずい、どうしよう…) ルキアはそうっと後ろに下がろうとした。 その時、本棚に肩が触れ本が何冊か落ちる。 バサバサ! 大きな音がしてしまう。 「アルフ様? そちらですか? 」 (やばい! 見つかる! ) 目をギュッとつぶるルキアの前に1人の男が立ち塞がる。 「アルフ様、やはりこちらでしたか? 何度もお呼びしましたよ? 」 「ガフはうるさいな~。少しはサボらせてくれよ。アリーン様の相手は嫌なんだ」 「知ってますよ。ただ、お呼びしろと言われましたら私はアルフ様を探さねばなりません。ご理解下さい」 ルキアはそうっと目を開ける。 てっきり見つかるかと思ったが自分の前に立っている男のお陰で、ルキアには気づいてないようだ。 (この、アルフ様って人…俺がいるのをわかってるんだよな? でも、ガフって人に言ってないって事は…隠してくれてるのかな? ) ルキアは自分の前にいるスラッと背の高い男を見上げる。 肩より少し下まである金髪の髪はとても綺麗でキラキラしている。 (この人はいったい…) 「わかった、わかった。ガフは戻ってろ。捜し物したらすぐ戻るから」 アルフという男は手でシッシッとガフを追いやった。 「本当ですよ? しばらくしても来なければ、また迎えに来ますからね! 」 「はいはい、全く。ガフは小姑みたいだな」 ガフという男が去って行ったのを確認して、ブツブツ文句を言っている。 ルキアはその様子をしゃがんだまま見ていた。 「…さてと…」 そう言って、アルフはクルっと後ろを向いてルキアを見下ろす。 「あっ…」 ルキアは振り向いたアルフの顔を見て驚いた。 アルフの目が緑色をしていたからだ。

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