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第5話

(この人が…第三王子、アルフ・シート・アデウス様か! 本当にに綺麗な顔をしている) 「おい、君は誰だい? 見つかりたく無さそうだから隠してあげたけど、本当に泥棒なら許さないよ? 」 「えっ? いや、ち、違います! お、俺、じゃなくて私は侍医の試験に受けに来たもので、トイレと間違えて…」 (あ、トイレって言っても伝わらないか! ) 「ああ、ここはトイレっぽいもんね。トイレはもう少し先だよ」 「えっ? あ、はい? 」 (な、なんでトイレで通じるの? ) ルキアは不思議そうにアルフを見た。 「ん? どうしたんだい? 」 「いえ…なんでもないです」 「ほら、とりあえず立ちなさい」 アルフに手を差し出され、ルキアは驚きながらもオズオズと手を出した。 「よいしょっと! おっと、危ない! 」 ルキアはしばらく座ってたのと、緊張もあり、立ち上がったもののふらつきアルフに抱きつく形になってしまった。 「す、すいません! ご無礼を! 」 慌てて離れそうとするがまた足がグラつく。 「こらこら、大丈夫だから。とりあえず落ち着きなさい」 アルフは離れそうになるルキアを抱き寄せ自分の胸に押し当てた。 ルキアの背中を擦りながら、 「落ち着くまで大丈夫だから」 と、囁く。 (いや、全然落ち着かない! アルフ様に抱き締められ、落ち着く人なんているのか? でも、今離れたらまた何か言われるし…) ルキアは緊張しながらもアルフの胸の中に収まった。 トクトクトク…アルフの心臓の音を聞いてると、ルキアは少しづつ体の力が抜けるのがわかった。 (なんだろう…緊張はするけどとても心地よい…ずっとこうしてたいな…) アルフはルキアの体の力が抜けてきたのに気づき、満足そうな顔をした。 「ほら、落ち着いただろ? 私の腕の中は心地よいだろ? 」 アルフがいたずらっぽくルキアに言った。 ルキアは慌てて離れ、 「は、はい。ありがとうございます! お陰で落ち着きました! 」 顔が赤くなっているのを見られたくなく下を向く。 「さて、ここを出るか。そろそろ試験だろ? トイレ行って、早く戻りなさい」 「あ、そうだ! 試験! ありがとうございます! 俺、いや私、行きますね! 」 「うん、頑張ってね。受かってまた会えるの楽しみにしてるよ、ルキア」 「はい、行ってきます! 」 ルキアは急いで倉庫を出てトイレに向かった。 「ハー緊張した! あれがアルフ様か…パッケージの通り凄い美形だな…俺なんかが、あの人を国王に出来るのかな? あれ? 」 ルキアはビックリな出来事でアルフとの話をスルーしてたが、ある事に気づいた。 「俺…ルキアって名乗ったっけ? なんで…アルフ様は俺の名前をわかったんだ? 」 ルキアはトイレをしながら考える。 「まさか、あの夢は本当のアルフ様が出てきてたのかな? 」 更にルキアはある事に気づく。 「あっ! そういえば、俺消える魔法が使えたんだ! パニクってて完全に忘れてた! バカだな…」 う~ん、と唸って考えていると広場の方から、声が聞こえた。 「試験まであと少しです。受ける方はもういませんか? 」 「いけない! 急いで戻らなきゃ! 」 ルキアは走って広場へ戻り試験官に声をかけた。 「すいません、私も受けます」 「ルキアさんですね、席にお戻り下さい」 「えっ? なんで名前? 」 「なんでって、胸に書いてるじゃないですか? 門から入る時もらいましたよね? 」 ルキアは自分の胸元を見ると、札の様な紙にルキアと貼られていた。 「全然気づかなかった…だからアルフ様は名前がわかったのか…なんだ。勘違いしてた…」 「あの、受けるんですか? 受けないんですか? 」 不思議そうに聞いてくる試験官に、 「受けます、受けさせて下さい! 」 慌てて答えた。 「では、早く席にお戻り下さい」 ルキアはさっきの席につき試験が始まるのを待つ。 (どんな試験なんだろう? この国の事を出されると、まだ知らない事だらけで答える自信がない…医療関係の問題だと助かるけど…) 前の方から数名の試験官が問題用紙を配り出した。 「全員に配り終えるまで開かないで下さい。終わった方から帰って大丈夫です。合格者だけに後に案内人が家まで行きます」 ルキアの前にも問題用紙が配られる。 この時代は鉛筆やシャーペンがなく、細い筆で文書を書く。机の横に小さな墨と筆が置いてあった。 最初書けるか心配したが、日本語を書くように書くとこの国の言葉に手元で変えられて紙に写し出される事がわかった。 (結局、ここはゲームの世界だからプレイヤーに都合がいいように変えられてるのかな? ) そう考えながらルキアは問題用紙を眺めていた。 「はい、皆様にいきわたりましたね。では始めて下さい」 試験官の声と共に問題用紙を開いた。 少しザワつく声が聞こえる。 (そんな難しいのだろうか? ) ルキアは心配しながら問題用紙をめくった。 「えっ? これって…」

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