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第14話

ルキアの話をガフは黙って最後まで聞いていた。 (ガフさんはさっきの事怒ってるかな? ) ルキアは説明しながらガフの顔色を伺ったが、何も読み取れない。 (すごいな、アルフ様より表情が出ない…) 「…という感じです」 ルキアは一通りフルークの部屋の出来事を話した。 「そうでしたか…それはアルフ様の言う通りルキア殿は気をつける必要がありますね」 「えっ? そうなんですか? 」 「はい、アルフ様から聞いてると思いますが、フルーク様とアルフ様はかなり仲がお悪いです。今回の事でルキア殿がアルフ様のお気に入りと知られてしまったので、またちょっかいをかけてくると思われます」 「あの、なんでそんなに仲が悪いんですか? 兄弟なのに…」 ルキアは、ディーンとメイカの兄妹を思い出した。 (あの2人はヤイヤイ言いながらも仲が良いのがわかる。俺は兄弟いないからそれが普通だと思ってたけど…) 「それについては私から話すのは良くないので、今度アルフ様にお聞きになってください。きっとご説明して頂けると思いますよ」 「はい…」 「では、私はこれで…」 「ま、待って下さい! ガフさん! 」 帰ろうとするガフの手をとっさに取る。 「どうされました? 」 「あ、あの、さっきのアルフ様の口付けは特に意味はなく、フルーク様にされたので可哀想だと思いしてくれたもので…特に意味はないです! 」 ガフはルキアの言っている意味が分からずキョトンとした。 「はい、分かってますがなんで改めて説明を? 」 「えっと…それは…」 ルキアはアルフの部屋を尋ねる前にメイドや執事、ヨリムに聞かされていた事を思い出した。 __________________ 「ルキア、アルフ様とガフさんは恋人同士だぞ」 「アルフ様とガフ様のお姿は見てるだけで私達メイドに希望を与えるの! 」 「でも恋人同士なのは内緒だから言ってはダメだぞ! 」 __________________ (どうしよう…誤解は解いた方がいいけど恋人と追求もマズイよな? ) 「ルキア殿? 」 ガフはルキアが腕を掴んだまま何も言わなくなったので、不思議そうに尋ねた。 「えっと、アルフ様とガフ様は仲が良いので…私なんかがアルフ様から口付けされたならお嫌かと思って…」 オブラートに包んで何とか誤解だと伝えた。 「ああ、なるほど」 ガフは何かに気づき納得した。 「ルキア殿は噂を聞いたんですね? 私とアルフ様が恋人同士なんじゃないかと? 」 「は、はい…なので気分を害したらと思って…」 「はぁー、全くこの宮殿内の人達は噂話がお好きですね」 ガフは呆れたように、 「根も葉もない噂ですよ。いつも一緒に政務をしてるので誤解されてるだけです。私は仕事としてアルフ様を御守りしてますが恋愛感情はございません」 と、説明した。 ルキアはガフの説明にホッとした。 (あれ? なんで俺はホッとしとんだ? ) ルキアは自分の感情に戸惑った。 「それでは私は他にも仕事がありますので…」 「あっ、はい! すいません…」 ルキアがガフの手を話そうとした時、 「ガフ殿? 」 ガフを呼ぶ声がした。 ルキアは後ろを振り返るとそこには第四王子のカオがいた。 「カオ様」 (カオ様? この子が第四王子のカオ様か! まだ高校生位に見えるな) そう思いながらも相手は王子ルキアは慌ててガフの手を離し頭を下げた。 カオはルキアを少し睨みガフを見た。 (あれ? 俺初対面だよな? なんで睨まれたんだ? ) ルキアは睨まれる理由が分からず困惑する。 「カオ様、どうされました? 体調でも悪いのですか? それならルキア殿にみてもらいますか? 」 カオの機嫌が悪そうなのでガフは心配して近寄る。 するとカオの顔がほのかに赤らむのをルキアは見た。 (そっか、カオ様はガフさんに好意があるのか! だから手を掴んでた俺に嫉妬したのか! 誤解だと伝えたいんだけどな…) 「大丈夫です。 少し散歩がしたくて歩いてた所です。 ところでこちらが兄上の侍医のルキアって医者なんですね? 」 「はい、そうです。ルキア殿ご挨拶を」 ガフに言われて、 「は、はい! カオ様ルキアと申します。よろしくお願いします」 改めて深々と頭を下げた。 「うん、よろしくね。今日来た割には随分とガフ殿の仲が良いんだね? 」 (うわ~トゲがある言い方だな…どうやって誤解を解くかな? …そうだ! ) 「ガフさんには色々ご指導頂いてます。気さくに話をさせて頂いているので先程もくだらない噂について、聞いていた所でございます」 「くだらない噂? 」 「はい、メイドや執事達がアルフ様とガフさんが恋愛関係にあると話してたので、確認をさせて頂いてました。もし本当なら誤解をしない行動をと思いまして…」 「兄上と、ガフ殿が恋愛関係? 」 「はい、わざわざ帰ろうとするガフさんの手を掴み確認していた所でした」 「そうだったんだ…」 ようやく顔が優しくなったカオを見てルキアは安心した。 「本当ですよ、ルキア殿。この宮殿内の人は噂話が好きなので、全部信じてたらキリがないですよ。先程も申し上げたようにアルフ様とは何もありませんので、誤解しないように」 「はい、ガフさん。すいません」 ガフが改めて否定したのを見てカオは笑顔になる。 「では、私は仕事が残ってますのでこれで…」 ガフはルキアとカオに頭を下げ帰って行った。 ルキアはカオと残されて気まずい。 (誤解はとれたよな? ) と思い、 「カオ様、私もこれで…」 と、頭を下げ帰ろうとした。 「ルキア、待って! 」 カオが呼び止める。 (えっ? まだ何か言われるのかな? ) 「は、はい。なんでしょう? 」 恐る恐る振り返る。

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