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第15話

そこには気まずそうなカオがいた。 「さっきは冷たい態度取ってごめんね」 ルキアはビックリした。 カオは第四王子、嬪妃の子供とは言え王位継承権にも入っている。 基本王子が格下の物に謝るのは聞いた事が無かった。 (なんだカオ様はとても素直な方なんだ! 嬪妃の子供って事はフルークの弟なんだよな? なんでこんなに違うんだ? ) 「カオ様謝らないで下さい。私こそガフさんに馴れ馴れしくしてカオ様に不快な思いをさせてすいませんでした」 「えっ? どうしてそう思ったの? 」 カオが驚いた顔で聞き返してきた。 「えっ? カオ様はガフさんがお好きなのでは…」 (違うのか? さっきの態度だとそう思ったけど…) 「えー! そんな顔に出てたの? 恥ずかしい…」 カオは両手で頬を隠し赤くなる。 「ルキアが気づいたって事はガフ殿にもバレてるのかな? 」 今度は顔が青くなる。 コロコロ表情が変わるカオにルキアもつい笑いが出てしまった。 「あ、ルキア笑ったな? 私の事バカにしてるのか? 」 不貞腐れた顔でルキアを睨むカオについ微笑んでしまう。 「いえいえ違います。すいません、カオ様がとっても可愛らしくて。ガフさんの事がとてもお好きなんですね? 」 続けて、 「多分ですがガフさんは気づいてないと思いますよ? 他人には過敏な方ですが自分の事には余り関心がないように思われました」 と、説明した。 「そうなんだよね、私がいくらアピールしても全然気づいてくれない! 」 ブツブツ文句を言った後にカオは改めて、 「ルキア、ありがとう。君を誤解していたよ。よかったら私の友になってくれ。気持ちがバレてるなら相談しやすい」 カオが手を差し出す。 「そ、そんな。私で良ければいつでもご相談に乗らせて頂きますね」 頭を下げながら握手した。 (カオ様と仲良くしていればアルフ様の情報も分かって、ミッションクリアにちかづかも! ) ルキアは少しずつだが前に進んでると確信した。 __________________ ルキアが宮殿に来てから2週間がたった。 相変わらずアルフはルキアをからかいながらも可愛がってくれている。ガフはその様子を見ながら毎回ため息をついていた。 毎日覚える事が多かったがルキアは充実した日々を過ごしていた。 「ルキア、お昼にしよう」 ヨリムが声を掛けてきた。 「はい、この薬草を並び終えたら行きますね」 「じゃあ先に食べてるから終わったらおいで」 「はい! 」 ルキアは布の上に薬草を全部並べ一息をついた。 「はあー、疲れた! 」 うーんと伸びをし空を見る。 アデウス国の空は本当に綺麗で澄み渡っていた。 (気持ちいいな~、以前の俺からは想像も出来ないや。毎日ゲームばかりで体も真っ白だったからな) 「星も綺麗なんだろうな…」 ルキアは呟いた。 夜遅くに外にいると見回りに見つかり罰則されてしまうから、まだゆっくり星を眺めた事が無かった。 「いつかゆっくり見たいな…」 「何をゆっくり見たいんだ? 」 「うわ! 」 急に話しかけられルキアはバランスを崩し後ろに倒れた。 「おっと! 」 アルフは後ろに倒れたルキアを抱きとめた。 必然的にルキアはアルフの腕の中に収まる形となる。 「お前は本当によく転ぶな? 」 「す、すいません! アルフ様! 」 ルキアは慌てて立ち上がる。 (やばい! こんな所をガフさんに見られたらまた怒られる! ) 「ん? 私は全然良いぞ。お前は軽いから重くもないし」 アルフはいつものように人懐っこく笑った。 ルキアもつられて笑おうとしたが、咳払いで気づいた。アルフの後ろに静かにガフが立っていたのだ。 「ガ、ガフさん! す、すいません、アルフ様のお手を汚して! 」 (やっぱりいるよな~。毎度毎度コケて俺ってそんなおっちょこちょいだったっけ? ) 「ルキア殿大丈夫ですよ。悪気がないのは分かってます。あなたが転ぶたび気にしてたらキリがない事に気づきましたので」 (それって、ガフさんから見てもおっちょこちょいだってこと? 俺全然役にたってないじゃん…) 少々落ち込んだ。 「ガフ、ルキアを虐めるな。ルキアがちゃんと仕事してるのはお前も知ってるだろ? 」 「虐めてなどおりませんよ? ルキア殿の仕事ぶりは私の耳にも届いておりますので」 ガフは「心外です」いう顔をしたのち改めて、 「ただ、本当におっちょこちょいだと思った次第です」 と言った。 (あっ、言われた…やっぱり思ってたんだ) 「ガフ、ズバッと言うな。ルキアが落ち込んでるだろ? ルキア、今日の夜時間あるか? 」 「仕事終わってからなら特に何もないと思いますが…」 「では仕事が終わったら私の部屋に来てくれ」 「は、はい…」 ルキアが返事をするとアルフは満足そうに頷いてガフを促し立ち去った。 「なんだ? 夜に何があるんだ? 」 ルキアが不思議そうにしてると、 「ルキア! 見たわよ! 今アルフ様に抱き締められてたでしょ? 」 「ねえ? 私もしかと見たわよ! もう素敵な絵だったわ! 目に焼き付けたわよ」 「本当アルフ様とガフ様も絵になるけど、ルキアみたいに可愛い子だと余計キュンキュンくるわね! 」 仲良しのメイド達がワイワイ勝手に盛り上がる。 「違いますよ、転けたのを支えてくれただけです! 」 ルキアは真っ赤になって反論する。 「ルキア、顔が赤いわよ? あなた色が白いからわかりやすいわね」 キャアキャアとルキアをからかい仕事に戻って行く。 (はあー、もうみんな本当に噂好きたな! アルフ様に他意はないのに…でも、まじかで見るアルフ様は本当に綺麗だよな? 男の俺でもドキドキする) 「ほんと、罪な人だ。人の気も知らないで…」

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