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第20話

ルキアはカオの話を聞きながらその光景が頭に浮かんだ。 (アルフ様なら、言いそうだな。それにすごくモテるのもやっぱりって感じだ…) 話の中の来るもの拒まず…にちょっとショックを受ける。 (俺、なんでいつもショック受けるんだろう…アルフ様の為にこっちに来てるのに、俺以外にもフラフラしてるから? ) (ん? 俺以外ってなんだよ! 別にアルフ様と俺は恋人同士じゃないし…別にアルフ様の事なんて…まあ綺麗だし、優しいし、笑顔が魅力的で…って、なんか好きな子の事語ってるみたいじゃないか! ) ルキアは自分に突っ込みながら違うと頭をブルブルとふった。 「ルキア、どうしたの? 急に頭ふって? 」 「す、すいません。なんでもないです! それでカオ様はガフさんに一目惚れしたんですね? 」 「そうなんだよ! もうこの人だって思って! でもアプローチの仕方が分からなくていつも空回りなんだよね…」 ハアっと肩を落として落ち込むカオの背中を擦りながら励ます。 「ガフさんは、鈍感だから余計悩みますね。でもカオ様はガフさんとお付き合いしても大丈夫なんですか? 立場的に王位継承権に入ってますよね? 」 ルキアはふと思った。 (確か14歳になると、王位継承権の対象になるんだよな? カオ様は健康状態も問題ないし…そしたら国王になるかもしれない人が男と付き合って大丈夫なのか? 子供産めないし…) 「ああ、それなら私は自分の力量を知ってるから放棄するつもりだよ。アルフ兄上の方がなるべきだし、もしなったらその子供が次の対象になるだろうからね」 「えっ? そんなアッサリ捨てて大丈夫なんですか? 」 ルキアは驚いた。フルークのアルフへの憎悪を見てると、カオの興味なさそうな発言にびっくりしたのだ。 「うん、私はサポート役でいいんだ。その方がガフ殿と一緒にいられるし」 「そ、そんなもんですか、フルーク様とは全然違うお考えなんですね…あ、す、すいません」 さっきのフルークの様子を思い出しつい毒づいてしまった。 (カオ様はフルーク様の弟だった! いくら嫌いでも兄を批判されなくないよな? ) 慌てて謝るルキアにカオは首をふる。 「ルキア、謝らなくて大丈夫だよ。私も兄上が苦手だし。どうしてあんなにアルフ兄上に執着するのか…多分母上のせいもあると思うんだけどね」 「アリーン様はどうしてそんなにアルフ様に? 」 「多分だけど…自分自身が側室である事の引け目で昔から嫌な思いをしたんだと思う。口を開けば王妃の悪口を言っていたから…王妃が亡くなられて母上は益々変わられた。私の意見など聞かなくなったよ…」 カオは少し寂しそうに上を見上げた。その目にはうっすら涙が浮かんでる。 ルキアは持っていたハンカチをカオの目に当てて拭こうとした。 その時、 「カオ様? 」 鋭い声と共にガフが歩いてきてルキアの腕をとった。 「イタタタタ!! ちょっ、ガフさん? 」 急に腕を取られてルキアはびっくりした。 「ガフ殿? 」 カオも急に現れて怒ってるガフにびっくりした顔をしている。 ガフは厳しい顔で、 「ルキア殿、カオ様に何をされたんですか? 泣かせる様な事を? 」 『えっ? 』 ルキアとカオは驚いて顔を見合わせる。どうらやガフはルキアがカオを泣かせたと思っているようだ。 「ち、違いますよ! 誤解ですよ」 ルキアはこのままだと酷く怒られそうなので慌てて否定した。 「そ、そうですよ!ガフ殿、ルキアに泣かされたのではなく、私が勝手に泣いたのをルキアが慰めてくれたんです! 」 カオも自分が泣いた理由をガフに説明した。 カオの説明を聞いたガフはつかんでいたルキアの腕を離しルキアに謝罪をする。 「ルキア殿、大変失礼致しました。私の勘違いで大きな声を出してしまい。医者の大事な腕にアザを作ってしまいなんとお詫びしていいか…もしお仕事に支障をきたすなら私がアルフ様から罰を…」 「ちょっ、ちょっと待って下さい! ガフさん、顔をあげて! 」 長文の謝罪に耐えられなくなりルキアは途中で遮る。 「ただの勘違いなんで謝らなくて大丈夫です。アルフ様に言うほどでもないし私も怒ってないので! 」 真面目なガフの事だからこのままにすると、アルフに自分で謝罪しにいきそうな勢いだ。 (全くなんて真面目な人なんだ! ) 「本当ですか? ご無理をされてるのでは? 」 「いやいや、本当に大丈夫ですって! それより私はもう仕事に戻らなければいけないので。ガフさん、カオ様を送り届けて頂いてもよいですか? 」 「それは大丈夫ですが…ルキア殿、本当に…」 ガフが再度口を開き出したのでルキアは遮り、 「大丈夫です! では、私はこれで! カオ様、ガフさん失礼します! 」 そう言って一目散にその場を離れた。 (あー、参った! ガフさん、真面目すぎ! こんな事で処罰とかこの国では普通なのかな? それより…) ルキアは走っていた足を止めさっきのガフの行動を思い返した。 (ガフさんって、カオ様の事どう思ってるんだろう? カオ様は脈ナシみたいに言ってたけど、さっきの俺に対しての態度はどう見てもカオ様を守ろうとしてる風に見えたけどな。ああ言ったけど腕マジで痛かったもんな) ルキアは自分の腕を擦りながら嘆く。 (やっぱりアルフ様の側近だけあって力があるわ。誰も居なかったら俺が泣いてたわ! でも、これで少しは2人の距離が近づけば役には立てたよな? ) 「戻って、薬草塗っとこ…」 ルキアは、ため息をついて診療所に戻って行った。 その頃残されたカオとガフは…

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