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第27話
唇を離したアルフはルキアのおでこにもチュッとキスをして、
「今日はここまでにしとくよ。急ぐとルキアに嫌われそうだしな」
と、いたずらっぽく言った。
ルキアを抱き締め「幸せだ」と呟いた。
「私もです。初めてがアルフ様で嬉しいです」
ルキアの言葉にアルフは驚き、顔を上げた。
「そうなのか? 」
マジマジとルキアを見ながら確認する。
「そんなマジマジ見ないで下さい。そうですよ、前の世界では全くモテないし、恋人もいなかったですから…おモテになるアルフ様とは違います! 」
最後に少し毒づく。
(これくらいいいよな? だってアルフ様は全部知ってて、俺だけ知らないのは焼きもち焼くよ! )
「ヤケにトゲがある言い方だな? そうかそうか! 私が初めてか! 」
毒づかれてもルキアの初めてのキスの相手が自分だって事に嬉しいアルフは、更にルキアを抱き締めルキアの首筋にキスをした。
「ンッ…アルフ様? 何を? 」
「他の物に取られないように印をつけとかないとな」
ルキアの首筋にキスマークをつけて満足そうなアルフはうーんと伸びをした。
「さて、そろそろ戻らないとな。ルキアも寝ないと」
そう言ってアルフはもう一度ルキアの自分の胸に抱き、風の魔法で下の窓に飛び乗った。
「何回されても、ゾワゾワしますね」
中々慣れないルキアは飛んだ瞬間ドキドキしてしまう。
さっき登った階段を降り扉の外にでる。振り返るともう壁にしか見えない。
「本当に不思議ですね…」
「また夜空が見たくなったら連れて行ってやるぞ」
「はい、ありがとうございます。では私は自分の部屋に戻ります」
頭を下げ帰ろうとするルキアにアルフは引き止めた。
「まて、今日は一緒に寝るぞ」
「えっ? 」
アルフの言葉にびっくりしてルキアは足を止めた。
「そ、それは良くないのでは? それにアルフ様は誰とも夜を共にしないと…」
(アリーン様はそう言っていたような…)
更に思い出して質問する。
「ったく、変な噂ばかり流れているな? みんな噂話が好きだな」
不貞腐れながら、
「確かにどうも思ってない相手なら一緒に寝ないがお前は別だ。唯一私が惹かれた相手だからな」
と、ルキアにアピールする。
「で、でも、ガフさんに怒られますよ? 」
「お前は私よりガフを気にするのか? 」
「そ、そうゆう訳では…でも一緒に寝るのはハードルが高くて…」
(だってそうだろ? キスも初めてなのに、寝るなんて…)
「ルキア、お前まさか私が何かするとでも思ってるのか? 流石に今日の今日で手を出す人間ではないぞ? 」
心外だと顔を顰める。
「そ、そうなんですか? 私はてっきり…」
「ルキアがして欲しいなら私は全然構わないがな」
アルフは笑みを浮かべながらルキアに近寄る。
「い、いえ、それは…ご遠慮します…」
アルフはルキアの頭を撫でながら、
「お前位だぞ? 私が誘って断る奴は? まあ誘った事はないが」
と言い「よいしょ! 」とルキアを抱き上げた。
「ちょっ! アルフ様? 」
急にお姫様抱っこをされてルキアはびっくりする。
「ほら、暴れると落ちるだろ? 手を出さなければ一緒に寝るのは大丈夫だろ? お前がうるさいから、このまま部屋に連れていく」
そう言ってルキアを抱えたままアルフは歩き出した。
「ア、アルフ様! いけません、護衛の方に見られますよ? 」
「ん? あの者達は見ても何も言わないよ。気にするな」
(イヤイヤ、気にするだろ? 急に男を抱えたアルフ様が登場したら! 全く、強引な人だな…)
ルキアは諦めてアルフの腕の中で大人しくした。
「そうそう、力抜かないと疲れるぞ」
ルキアのおでこにキスをしながら歩いて行く。
アルフの部屋の前の護衛達は、アルフがルキアを抱えて近づいて来た事に驚いたが、すぐ真顔になり静かに扉を開けた。
「ほらな? 何も言わないだろ? 」
部屋に入ったアルフはルキアを見ながら満足そうな笑みをこぼす。
「そりゃ、アルフ様には逆らえませんよ! でも、絶対明日には噂になってますよ? 」
「それなら都合がよい。社交界の前に広まってくれたら、ルキアを隣に置いてても何も言わないだろうから」
アルフの言葉にルキアは驚いた。
「まさか、その為にわざわざ私を抱っこして見せたのですか? 」
「それもあるが、ルキアに逃げられては困るからな? ちゃんと私の腕の中に入れとかないと」
アルフの言葉にため息がでる。
(ガフさんが振り回される理由が分かる気がする…)
「では目標達成したので降ろして下さい! 」
「嫌だね、このまま寝室に連れていく」
「えっ? 」
アルフはそのままルキアをお姫様抱っこし自分の寝室に入る。
ベッドの上にルキアを降ろすと、ルキアの服を脱がし出した。
「ちょっ、アルフ様! 何をするんですか? さっき、何もしないって! 」
「ルキア、警戒しすぎだ。そのまま寝られないだろ? 着替えないと」
「じ、自分で着替えられますよ! 渡して下さい! 」
(全く、油断も隙もない人だ! )
ルキアははだけた服を戻し手を出す。
「お前は文句が多いいな? ま、そこも可愛いが」
アルフはルキアに着替えを渡して自分も着替え出した。
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