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第32話
壇上に皇族一族が並ぶ。
国王を中心に左右にアリーン、息子達、反対側にアルフ兄弟達。
いつも一緒にいるアルフが離れた場所で国王と一緒にいる姿を見ると、自分との違いを突きつけられる。
(やっぱりアルフ様は凄い人なんだな…俺なんか傍にはいてもいいのかな? )
不安が襲いルキアは落ち込んでいた。
壇上では国王の挨拶、他の国の皇族、伯爵達の挨拶が続いている。
それをボーッと見ていたルキアにガフが話しかけた。
「ルキア殿、あの方がサンドラ王女です」
ガフの言葉に目をやると壇上でアリーンとハグをしている女の子がいた。
金髪のロングヘアをハーフにあげ豪華な髪飾りをしている。
「凄く綺麗な方ですね…」
(あの子がアルフ様の婚約者…1度は寝た事がある…)
嫌な事を思い出して頭をブルブルする。
(気にするな! 今はなんとも思ってないって言ってたろ? )
ルキアの気持ちをよそにサンドラはアルフにもハグをした。
人の手前アルフも嫌な顔はせず軽く返す。
その時サンドラがアルフに何か囁いたのが見えた。
その言葉を聞いたアルフは一瞬顔色が変わった様に見えたが、何事も無かった様に笑顔でサンドラを見た。
(今何か囁いたよな? アルフ様の顔が一瞬変わった…何を言ったんだろう? )
すぐ聞きに行けないもどかしさがルキアを襲う。
(こんな気持ち初めてだ…これは嫉妬なのか? そう思うって事は俺はやっぱりアルフ様が好きなのかな? )
自分の気持ちが確信に変わろうとしているのが分かってきたルキアは、益々アルフとサンドラを見れなくなった。
突如音楽が大きくなりダンスが始まりだした。
踊り子達のダンスが披露されながら、周りでは挨拶や、ダンスを誘う男の姿が見られる。
皆、伯爵の息子や娘達だ。
ルキアはチラッとガフを見た。
「ガフさんも伯爵家の方なんですよね? こうゆうのには参加しないのですか? 」
ルキアの質問にガフは顔を顰めた。
「私はこうゆう賑やかな事は苦手なんです。それなら体を鍛える方がましです。誰かと優雅に踊る気はないですし、他人に触られるのも嫌いです」
「あれ? でも昨日カオ様を、抱き…グッ! 」
ルキアが言いかけると、ガフが慌ててルキアの口を塞ぐ。
「ルキア殿! カオ様から聞いたのですか? 」
質問されても口を塞がれてるので返事が出来ない。
代わりにコクコクと頷いてみせる。
はぁーとため息をついてガフが塞いでいた手を離す。
「本当にあなた達は隠し事せずなんでもお話されるのですね…その話はここではお止め下さい。誰かに聞かれてカオ様のご婚約に支障がきたらいけませんから」
「でもガフさん、それでよいのですか? カオ様が他の方とご婚約されても…」
ダメと言われても気になるルキアは、小さい声で尋ねる。
「良いも何も私とカオ様はそうゆう関係ではありませんよ? 口を出す権利はないですし」
ガフは当たり前の様に話す。
(あーもう! ガフさん、鈍感すぎるだろ? 絶対気になってるのに気にならないなんて! なんかきっかけとかないかな? )
「それよりアルフ様から聞きましたよ? ルキア殿の素性! 」
突然現実に引き戻されたルキアはアタフタする。
「えっ? 今その話します? 」
「ルキア殿も今関係ないカオ様のお話してますよ? 」
「いや、まあそうなんですが…」
ふぅとため息をついてガフに謝った。
「はい、そうです。黙っててすいません…アルフ様に先に言おうと思いまして…」
「怒ってはないですよ。そうゆう事もあるのだと、新しい発見でございます。自分はいかに小さい世界にいたのかと…」
「いやそんな大事に考えなくても…」
2人で小さい声で話してるといつの間にかアルフ、カオ、サニーが傍に来ていた。
「おい、2人で何コソコソ話してるんだ? ガフ、ルキアに近づき過ぎだぞ? 」
「また私が悪者ですか? 」
アルフを睨みながらガフが文句を言う。
「な、なんでもないですよ! それよりアルフ様、そちらはサニー王女様ですよね? 」
アルフの横にいるサニーに気づきルキアは一礼をし挨拶した。
「初めまして、ルキアと申します。アルフ様の侍医をさせて頂いています」
ルキアの挨拶にサニーは微笑んで、
「初めまして、ルキア。あなたの事はお兄様から聞いてますわよ。とっても仲良しなんですってね? 」
「そ、そんな…良くしてもらってるだけで…」
ゴニョニョと言葉を濁しながら言うと、
「こら、サニー! ルキアをからかうな。私の大事な人だぞ? 」
アルフがサニーに注意をする。
「ふふ、知ってますわ。お兄様の大事な人だってのは。だってお兄様、ルキアが来てから毎日楽しそうですもの。羨ましいわ」
「お前もそこら辺の王子と踊っていい人見つけてきなさい」
「嫌ですわ、私はお兄様とルキアの仲良しな姿を見てる方が幸せですの! 」
サニーの発言にルキアはもしかして…と思っていた。
(この子、俺の世界の腐女子ってやつなんじゃあ…)
「お前はメイド達と同じ発想じゃないか…どこでそんな考えになったんだ? 兄は悲しいぞ? 」
「いいんです! 私はこれで幸せですから! お兄様もチヒロと同じ事言わないで下さい! あの子も私に素敵な婚約者探しましょ! と言うんですよ? 全く興味ないのに…」
(いや、そりゃ言うだろ? こんな可愛くて一国の王女であるのに…勿体ない…)
「ん? ルキア、私からサニーに乗り換えたら許さないぞ? 」
サニー見ていたルキアの顔を覗き込みながら、アルフがからかう。
「ち、違いますよ! とてもお綺麗な方なのに、しっかりされてるなーと…」
「あら? ルキア、ありがとう。そうね、お兄様より私の方が…嘘でございますよ! お兄様冗談なのに目線が怖いですわ」
笑いながらアルフをなだめる。
「サニー、私にルキアの事で冗談は通じないぞ? な、ガフ? 」
「そうですね、何度私も巻き込まれたか…」
「ふふ、その光景が思い出されますわ」
(いやいや、俺を置いてけぼりでこの3人は勝手に好きなことを言って…)
ルキアが半分不貞腐れながら見てると後ろから声がした。
「アルフ様、私と踊って頂けますか? 」
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