「クソッ！ ガフ、どうしてくれるんだ？ ルキアに完成に誤解されたではないか？ 」 ルキアが立ち去った扉を指差しながらガフに八つ当たりする。 「アルフ様がしつこく聞いてくるからですよ！ 後で説明に行って下さい」 ガフは首を擦りながら反論する。 「後でなんて誤解させたままでルキアに嫌われたらどうするんだ？ 今から行ってくる！ 」 「アルフ様、今から会議がありますのでそれはいけません！ 」 「クソッ！ 」 アルフは舌打ちをして頭を抱えた。 「アルフ様、少し落ち着いて下さい。ルキア殿も話せばちゃんと分かって下さいますよ。私からも言っときますから」 「本当だな？ 絶対ガフからも言ってくれよ？ 『アルフ様はふざけただけで本当に口付けするつもりはない』って伝えるんだぞ？ 」 アルフのしつこい説明に、 「はいはい分かりました。ちゃんとお伝えしますから今は会議の事を考えて下さい」 ため息混じりに返事をする。 ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ 一方ルキアは… 思いっ切り走ったので息切れをしていた。 「ハア…ハア…久しぶりに全力疾走したな…ハア…」 ふぅと息を吐き上を見上げる。 「ハア…さっきのは、やっぱりそうゆう事だよな？ なんだかんだ言ってアルフ様とガフさんは恋人同士なのかな？ 」 さっきの光景を思い出し胸が痛くなる。 (さっきのカオ様には言えないよな…今日の夜どうしよう？ アルフ様に呼ばれてたけど…断る方法とかないかな？ ) ルキアは楽しみにしていた夜が憂鬱になってきていた。 ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ あっという間に夜がくる。 ルキアはあれから色々考えていたがいい言い訳は思いつかずにいた。 「ルキア、今日はもう終わりだ。休んでいいぞ、お疲れ様」 ヨリムは声をかけ早々に自分の部屋に戻って行った。 「はい、ありがとうございます」 ルキアは白衣を脱ぎ自分の部屋に戻りアルフの所に行く準備をした。 「ハア…色々考えたけど結局何も思いつかなかった…どうしよう…行ってもいいのかな？ 」 トントントン その時、ルキアの部屋をノックする音がした。 「ヨリムさんかな？ 何か言い忘れたのかな？ 」 ルキアは返事をしながらドアを開けた。 「はい、どうしまし…!! 」 途中で言葉が詰まる。そこに立って居たのはヨリムではなくアルフだった。 ルキアは驚きの余り口を開けたまま固まった。 「訪ねに来てすまないな。もう仕事は終わったか？ 」 アルフに訪ねられコクコクと頭を上下に動かす。 「ど、どうしてアルフ様がここに？ 」 ようやく声を出しアルフに尋ねた。 「どうしてって…ルキアが私の部屋に訪ねに来るかわからないから迎えに来たのだ」 「そ、そんな行きますよ。お約束しましたから…」 (なんでアルフ様は俺の考えがわかったんだ？ ) アルフは、いっとルキアに顔を近づけ、 「本当かな～？ さっきの事誤解してるから気まずくて来れないと思って無かったか？ 」 「そ、そんな事…お2人の邪魔をしてしまって申し訳ないと思っています！ 」 ルキアの言葉に、アルフは「んっ？ 」と顔を顰めた。 「ルキア、ガフが訪ねに来なかったか？ 」 「ガフさんですか？ 来てないですよ？ 」 「ガフの奴…自分からも言うと言っていたのに嘘ついたな！ 」 アルフの独り言の意味がわからずルキアはキョトンとした。 (ガフさんが来たかってわざわざガフさんからも口止めをさせるつもりだったのかな？ ) 「えっと…アルフ様、私は誰にも言わないので安心して下さい」 見当違いな答えにアルフは頭を抱えた。 「だ～か～ら～、違うんだって！ あれはイチャイチャしてたんじゃなくて、ガフをからかってただけで…クソッ！ ガフの奴、私1人だと説得力ないではないか？ 」 その時後ろからガフの声がした。 「アルフ様、私1人を悪者にしないで下さい。元はと言えばアルフ様がしつこいのがいけないんですよ？ 」 (しつこい？ そんなアルフ様は積極的なのか？ ) 「言い方に語弊があるぞ！ またルキアが勘違いしてるではないか？ それに遅いではないか？ 私の方が先に来たぞ？ 」 「あ、すいません。アルフ様が最後おサボりになられていたので、後片付けをしていましたので遅くなりました」 ガフはアルフを横目で見ながら嫌味を言った。 「グッ…」 言葉に詰まり不貞腐れるアルフを見ながらルキアに説明する。 「ルキア殿、先程は失礼しました。アルフ様の言う通りイチャイチャしてたのではなく、私をからかっていたのでご心配なく」 「し、心配なんて…逆に勝手に入ってすいません…」 「ルキア殿、とりあえずそうなった経緯を聞いて下さい」 と、ガフはその前後の説明をした。 「…と言う訳です。分かりましたか？ 」 ガフの説明にルキアはコクコクと頷いた。 (なんだ、本当にただの誤解だったのか…びっくりした！ この2人顔面偏差値が高すぎるから、あんな光景見たら誤解するよな？ でも…) 「ガフさん、具合悪いなら無理せず休んで下さいね？ カオ様も心配しますよ？ 」 「ん？ なんで、そこでカオが出てくるんだ？ 」 アルフが怪訝な顔をしてルキアとガフを交互に見る。 「それにつきましては私の方から説明を。まず私が誤解をしまして、ルキア殿の…」 「あーもう！ とりあえず解決したのでアルフ様行きましょう！ ね？ ね？ 」 ルキアはガフがルキアの腕にアザをつくった事を話そうとしてると感知し途中で話を遮る。 「ちょっ、ルキア？ ガフの話は？ 」 ルキアに「早く！ 」と促されてアルフはさっぱり分からない顔でルキアを見る。 「後で私が説明して差し上げますから、早く行きましょ！ 」 「ああ、そうか？ わかった。ガフ、また明日な」 全然分かってないがルキアとアルフは診療所を出ていった。 「かしこましました。行ってらっしゃいませ」 ガフは2人を送り出しため息をついて自分の部屋に戻って行く。