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第36話

ガフとカオは早足でルキアの元へ急ぐ。 ガフは途中でカオからさっきの話を聞いていた。 「その話の通りなら、アリーン様はルキア殿に何か仕掛ける気ですね! 」 「はい、私もそう思います。まさか直ぐに行動に移さないとは思いますが、母上の言い方に自信があったので、兄上が動けない間に何かするかもと思いまして」 「そうですね、確定ではないですがルキア殿を確認してアルフ様の所にお連れしましょう! 」 「はい! 」 2人は急いでルキアが着替えで使ったであろう、更衣室の扉をノックする。 「すいません! ガフですが急用でして扉を開けてください! 」 何回かノックしたが誰も出てこない。 「誰かいませんか? 」 「誰もいないんですかね? 」 「いや、着替えるならここのはずですが…とりあえず開けましょう! 怒られたら謝れば! 」 ガフが扉を開けて中に入る。中を見て2人は驚いた。 床にアルフのメイド達が倒れている。 急いで駆け寄り1人を起こす。 「大丈夫ですか? 」 ガフの声掛けに、メイドは呻き声をあげながら意識を戻した。 「ガ、ガフ様…すいません…突然襲われて…」 「ルキア! ルキア! 」 カオが奥に入り、ルキアを探す。 「ガフ殿、ルキアがいません! 」 カオの言葉にガフは険しい顔をする。 「ルキア殿は、どうした? 何があったんだ? 」 「扉を叩く音がしたので…開けたら…急にお腹を殴られて…そのまま意識を…でも多分…ファースト様かと…」 そこまで言ってメイドはまた意識を失う。 「やはり、アリーン様、フルーク様が裏で動いてますね…カオ様! ヨリムさんを呼んで下さい! 私はファーストを探してきます! 」 「そ、そんな、1人では危ないですよ! 」 カオがガフの腕を掴み引き止める。ガフはカオの手に自分の手を乗せ、 「カオ様、大丈夫ですよ。私は武道でファーストに負けた事はありません! 」 「でも…」 「大丈夫です。カオ様を悲しませる姿では戻って来ませんから」 心配そうな顔をするカオを安心させるように握った手に力をいれる。 「絶対、気をつけて下さいね! ルキアを見つけて下さい! 」 「はい、分かりました。では! 」 ガフは走って部屋を出てファーストが行きそうな所を探す。 (あいつがルキア殿を連れて行きそうな所は…フルーク様の部屋は見つかる危険があるから、宮殿の裏にある使われてない執事用の家かもしれない! ) 以前フルークが既婚者の妻に手を出した時に使っていた部屋があったのを思い出した。 ガフは急いで向かう。 __________________ 「ん…っ…痛! 」 ルキアは痛みで目が覚めた。何故かベッドに寝かされている。 「こ、ここは…痛! なんで、お腹が…こんなに…」 起き上がろうとしてお腹の痛みに顔を顰める。 「えっと…一体何が…」 痛みで記憶がハッキリしないルキアは、何が起こったか思い出そうとしていた。 「女装から着替えようとして…メイド達の悲鳴が聞こえて…行ったら…ファーストさんが…そうだ! ファーストさんに殴られて…」 「思い出したか? 」 「わっ! 」 突然声がしてびっくりする。顔を上げて声の方を見るとフルークがいた。 「フルーク様…どうして…」 フルークは近づいてきてルキアの横に座る。 「手荒にして悪かったな。どうしてもお前を連れ出せと母上に言われてな」 フルークは全然悪びれもせずルキアの頬を触りながら説明した。 「しかし本当に女かと思ったぜ。やっぱり俺の目は正しいな。お前は魅力的だ」 まだ着替えてないルキアの格好を見てフルークはニヤニヤした。 「やめてください」ルキアはフルークの手を払う。 「私をどうするつもりですか? 」 睨むるルキアを笑いながら、 「どうするつもりか? って? そりゃあアルフの所に返せないようにするつもりだ」 あっさりと白状する。 「そ、それは…」 この次の言葉を出すことに抵抗があった。多分正解なんだろうが、口に出すのが確定しそうで怖い。 「このままお前を抱くって事だ」 「抱くって私は男です!」 「男でも構わない。お前は可愛いしどうせアルフにも散々抱かれてるんだろ? 1回位いいだろ? アルフより優しいぜ? 」 フルークの笑いにルキアは背筋が凍る。 (アルフ様もまだなのにこんな奴に抱かれるなんて絶対嫌だ! ) ルキアはどうにか逃げようとしたが、体に力が入らないしフルーク相手に勝てる気がしなかった。 「お願いです!こんな事やめてください! フルーク様は、ずっとアリーン様の言いなりなんですか? 」 「なんだと? 」 言いなりという言葉にフルークの眉が動く。 「そうではないですか! 母上母上と! 自分の意思がないのですか? それに…グッ!! 」 言葉を遮る様にフルークはルキアの口を塞いだ。そのまま力でルキアをベッドに倒す。 ルキアの口に布を押し込み、そのまま両手を上にあげ片手で押さえつけた。 「お前優しくしてたらつけ上がりやがって! もう何も言うな! 黙ってろ! 」 怒りに任せてフルークがルキアのドレスを脱がせ出した。 「んんん! 」 ルキアは首を振り激しく抵抗する。 その時扉が激しく叩く音がした。

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