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第39話
「カ、カオ様? 」
ガフの呼び止めにも聞かず出ていってしまった。
呼びに行こうかと思って腰を上げたがルキアを守るとアルフと約束したのを思い出し座る。
「ガフさん、カオ様追いかけていいですよ? 」
ルキアは見てられなくて登場した。
「ルキア殿、聞いていたのですか? 」
「すいません、いい雰囲気だったので出て行きづらくて…でもガフさんあの発言はないですよ? 」
「どの発言ですか? 」
「とりあえず追いかけて下さい」
「それはダメです! アルフ様とお約束したのでルキア殿の傍を離れる訳には! 」
「でも、カオ様の誤解とかなきゃ…」
ルキアの言葉に詰まる。
「そ、それは…後ほどアルフ様にルキア殿をお渡ししてから謝罪に行きます」
「はあ…ガフさんも頑固な人だ…では、この時間を使って誤解を解いてみましょか?」
ルキアはガフと一緒にソファに座る。
自分もアルフについて自問自答した事をガフに説明した。
「私は今まで誰かを好きになるとか、恋人関係になるとかの経験がないので、自分の感情が何か分からなく悩んでいました。今も確信はしてますが確定かはまだです」
前置きをした後ガブに尋ねた。
「ガフさんから見てカオ様はどんなお方ですか? 」
「カオ様ですか? そうですね…とてもお優しく誠実で心が綺麗なお方です。アリーン様やフルーク様に色々言われてますが、顔には出さずいつも笑顔です」
「では、その笑顔を見てガフさんはどう思いますか? 」
「笑顔を見て? そうですね、政務に疲れている時は癒されますし元気になりますかね? 」
「では、カオ様の笑顔はガフさんを元気にするんですね? 」
「そうですね…はい」
「では、私の笑顔はガフさんを元気にしますか? 」
「ルキア殿の笑顔ですか? それは私よりアルフ様が嬉しくなるかと…」
「そうなら嬉しいですが…そうですよね? 私の笑顔はガフさんを元気に出来ない」
「ルキア殿…質問の意味が分からないのですが? 」
「分からなくて大丈夫です。聞かれた事に素直に答えてくれたら。では、カオ様の笑顔が他の誰かに向けられたらどうですか? 先程カオ様がお話されてた人とか? 」
「ローレン王女ですか? 」
「はい、そのローレン王女にカオ様が、特別な笑顔を見せるんです。えっと…私がアルフ様に向けるような…」
ガフを誘導するとはいえ自分の話を例えに出すのは恥ずかしかった。
ルキアの質問にガフは思い出して見た。
さっきカオとローレンが踊っていた姿とてもお似合いだった。でも何故か喜べなかった。心がザワザワした。どうしてそうなるか考えて見たが分からなかった。しかし今ルキアに言われ気づいた。
「ルキア殿、あなたが仰りたいのは私にとってカオ様の笑顔は特別な物だと言いたいのですか? 」
「そうです。私もアルフ様に微笑まれたら嬉しいですし、私も返したいと思います。でもその笑顔をサンドラ王女に向けられたら…とても悲しいですし、嫉妬もします」
ルキアはさっきのアルフとサンドラのハグやダンスをしていた時の気持ちを素直にガフに話した。
「嫉妬…なるほど…私のこの変な感情は嫉妬なのですね…」
ガフはブツブツ今までの自分のカオに対する気持ちを振り返っていた。
「という事は私はカオ様をお慕いしてるのですか? 」
「お慕いって…要は好きって事ですよね? 好き、大好き、恋人にしたい、触れたい、抱きしめたいって事ですよね? 」
ルキアのどストレートな追求に顔を顰める。
「ストレートですね…まあそうゆう事ですかね? 」
「おー! ようやく認めましたね! 」
ルキアは嬉しくてパチパチと拍手をする。
「ルキア殿、私をからかっていますか? 」
「違いますよ! 嬉しんです! ようやくガフさんが自覚してくれて! カオ様もお喜びになりますよ! 」
ルキアの言葉にガフが怪訝な顔をする。
「何故カオ様がお喜びに? 私がカオ様をお好きでも、カオ様が私をお好きかは分からないではないですか? 」
ガフの問いにルキアが驚く番だった。
(えっ? まさかこの人自分がカオ様に好かれてるとは思ってないの? うそだろ? )
ガフの言葉にカオの気持ちを伝えていいか分からなかったが、ここまできたならとゴホンッ! と咳払いをしてガフが分かるように説明した。
「えっ~と、ガフさん。カオ様はとても誠実でお優しい方ですよね? 」
「はい…そうですね」
またルキアが分からない事を言い出したので、なんだ?という顔をする。
「その誠実でお優しい方が誰構わず抱きつくとお思いですか? 」
「カオ様はそんな事されませんよ? 」
「ですよね? 私もそう思いますし、私が存じてる限りカオ様から抱きついたのはガフさんが初めてですよ? 」
「えっ? 」
ルキアの言葉に衝撃を受ける。カオとの出来事が衝撃で、他の人に抱きついたとか抱きついてないとか考えた子供無かった。
「それってどうゆう事だと思いますか? 」
ルキアは再度追求した。
「ルキア殿のお話をまとめると、カオ様も私の事を…と聞こえますが…」
「はい、正解です! 」
またパチパチと拍手をする。
「絶対からかってますよね? 前の世界でも意地悪な人だったんですか? 」
「まさか違いますよ! 前いた世界では陰キャ…えーっと、とても暗い人間でした」
「とてもそうは見えませんが…」
「こちらの世界が私を変えてくれたんです。アルフ様、カオ様、ガフさんのお陰ですよ? 」
「また調子のいい事を…」
「それより気持ちが分かり合えたのですから、夜ちゃんとカオ様の所に行って誤解を解いて下さいね? 」
「分かりました…意外にルキア殿は強引ですね? アルフ様の前ではしおらしいのに」
「ウッ…仕方ないじゃないですか? 私には初めてだらけで…」
「それに自分の事には鈍感でアルフ様が手を出せず、モヤモヤされてますよ? 」
「ど、鈍感なんてガフさんに言われたくありませんよ! どの口が言うんですか? 」
「私の口ですよ? 」
ルキアとガフはヤイヤイ友達の様に言いあいを続ける。
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