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第48話

あの日から一週間がたってしまった。次の日アルフに話そうと思っていたが、朝から仕事が忙しくバタバタしてしまいアルフの所に行った時には仕事で一週間居ないと言われた。 ガフも連れて行ってるので益々話す相手がいない。 「ハァ…どうしたらいんだろう…」 「何が? 」 「うわっ! チ、チヒロさん? どうしたの? 」 突然のチヒロの登場にびっくりした。 「そんな驚かないでよ、サニー様のお薬取りに来たの」 「う、うん、ごめんね。考え事をしていたから…」 棚からサニーの薬を出してチヒロに渡す。 「何を考えてたの? アルフ様が出張だから寂しいって? 」 薬を受け取りながらからかう。 「ち、違うよ。ちょっとね…」 ルキアの言葉の濁しに、チヒロは何か感づきサニーの元へ帰るのに送れと言ってきた。 「それで、どうしたの? 」 歩きながら質問する。 「うん、実は、こないだ…」 ルキアはオームとアリーンの逢い引きの話をチヒロにした。 ルキアの話を聞いてチヒロは考え込んだ。 「…という訳で、どうしたらと悩んでたんだよ。って聞いてる? 」 黙ったままのチヒロにルキアが聞いてないのかと質問した。 「聞いてるわよ! バカじゃないんだから。全く…前にねサニー様がオーム様の事を心配してたの。なんか最近薬の量を減らしてるのにやけに元気だって…」 「そんな事ある? 普通病弱な人は適切な量の薬は必要だよ? 」 「そうよね…余り気にしてなかったから詳しくは聞いてないけど、帰ってサニー様に聞いてみましょ! あなたも一緒にいらっしゃいよ」 「えっ? 俺も? サニー様に迷惑じゃない? 」 「大丈夫よ、アルフ様との事を聞きたがってるから教えてあげれば喜ぶわよ」 そうだったサニーは腐女子だった。 ルキアは何を聞かれるのか少し心配だったが、オームの事も知りたかったので、ついて行く事にした。 サニーの部屋につき扉をノックする。 「サニー様、戻りました。ルキア殿も一緒です」 「えっ? ルキアもいるの? 」 勢いよく扉が開き嬉しそうなサニーが顔をだした。 「ど、どうも。サニー様…」 気迫に押され後ずさりしながら挨拶する。 「ルキア、会いたかったわ! ほら中に入って色々話を聞かせて! 」 サニーは嬉しそうにルキアの腕を取り中へ連れ込む。 (最初からこれだ! 何聞かれるんだよ…) ルキアは覚悟を決めてサニーに引っ張られながら中に入る。 その後ろをため息をつきながらチヒロが続く。 「さっ、ルキア、ソファに座って。今お菓子持って来てもらうわね! 」 サニーはメイドにお菓子を頼みチヒロに紅茶をお願いした。 「すいません…」 恐縮するルキアにサニーは遠慮しないでと言う。 お菓子と紅茶が届き並べられる。 さすが女の子とあって色とりどりのお菓子が出てくる。 「さっ、食べて。この紅茶はチヒロがブレンドしてるからとても美味しいの」 「ありがとうございます」 ルキアは紅茶に口をつける。懐かし味がした、アールグレイに近い味だ。 「本当です! とても美味しいです。チヒロさん、ありがとうございます」 「この、味を再現するの大変だったのよ! 」 満足そうにチヒロが言った。 「うん、本当に…」 ルキアが堪能していると唐突にサニーが質問した。 「ねえ、ルキア。お兄様とはもう致したの? 」 「グブッ!! ゲッホゲッホ、ちょ、サニー様? 」 どストレートな質問にルキアは紅茶をむせり喉に入った。 「ハァー、サニー様、何度も言ってるではありませんか? そんなあからさまな質問はおやめにと? ほら、ルキア殿が狼狽してますよ? 」 チヒロに諭され「ごめんなさい」と謝った。 「い、いえ…大丈夫ですが…突然すぎて驚きました…」 「でもでも、からかうとかじゃなくて嬉しいから聞いてるのよ! 私お兄様が大好きだから、お兄様には幸せになってもらいたいもの! 」 「そ、そうですか…でもサニー様がお喜びになるお答えかは分かりませんが…そのご質問の答えは、いいえです」 呼吸を整え説明した。 「えー、まだですの? あんなに何回も泊まってるのに? でも口付けはしたんでしょ? 」 「ええ、まあ…」 「キャー、やっぱり! 社交界の時のダンスで分かったのよね! 」 サニーは1人で楽しそうだ。 ルキアとチヒロは咳払いをして、本来の質問をしようとした。 「あの、サニー様。実はお聞きしたい事がありまして…」 ルキアが話を切り出した時扉をノックする音がした。 「サニー様、カオ様がおいでです」 「入れてちょうだい! 」 「えっ? カオ様も呼んだんですか? 」 チヒロの質問に、 「ええ、ルキア話を聞くついでに、カオにも聞こうと思って! 社交界の夜、ガフと2人っきりでダンスしたって聞いたのよ! 追求しなきゃ」 サニーは嬉しそうだ。ルキアとチヒロはため息をつく。 (これは、オーム様の話まで長そうだ…) 「サニー、久しぶりだね。あれ、ルキアも来てたのかい? 」 サニーとカオは母親は違うが同じ歳なので双子の様に仲がよかった。 「こんにちは、カオ様。サニー様にお呼ばれしまして…」 ルキアの情けない顔を見て察した。 「サニー、ルキアに色々質問してたのか? 本当に好きだな? 人の色恋が…」 「そうよ! だからカオにも来てもらったの! こないだの社交界の事教えて! 」 サニーの言葉にカオもため息をつく。 話さないと帰してくれないのが分かっているので、諦めてルキアの隣に座る。 「ルキア、長くなるから覚悟をしろよ」 小さな声でルキアに囁く。 (そ、そんな~) 目をランランと輝くサニーにルキアは覚悟を決めるしか無かった。 (クソ!なんでもこい! 全部話してオーム様の事聞かなきゃ! ) 覚悟を決めたが10分後には既に後悔したルキアだった。

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