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第62話

「父上! 父上! 大丈夫ですか? 」 国王の寝室に入り寝ている父上に声をかけた。 国王の顔色は青ざめ生気が見えない。 傍には国王の侍医コーンとアリーンがいた。 「何があったのだ? 」 厳しい声でコーンに詰め寄る。アルフの怖さにコーンは後ずさりしてしまう。 「せ、政務中に突然胸を押さえ苦しみだし、そのまま倒れたと聞きました。今脈を計りましたが、とても弱く意識もお戻りになりません…多分、心臓発作を起こしたのでは…」 「心臓だと? 父上は健康では無かったのか? 毎週健診しているんだろ? 」 「も、もちろんでございます。ただ、この所体調が優れなかったりしていたので…無理が…」 「そんな話は聞いていないぞ! 」 それまで黙っていたアリーンが口をひらいた。 「アルフ王子、落ち着きなさい。そんなにうるさいと、陛下がゆっくりお休みになれません」 アリーンの言葉にアルフはアリーンを睨む。 「アリーン様はなぜそんなに落ち着いているのですか? 父上が心配ではないのですか? 」 アルフの嫌味の言葉にアリーンは鼻で笑う。 「もちろん心配に決まってますわ。ですから、ずっとお傍にいるんです。最近体調が優れなかったので、早めに処置が出来てよかったわ」 「早めに? 倒れる前に気づけなかったのですか? 妻なのに? それとも他の事で忙しくて、父上の所に居なかったのでは? 」 アルフの言葉に一瞬ピクッと眉が上がったが、直ぐにいつもの嫌味たっぷりの顔に戻る。 「毎日体調は心配してましたが陛下が大事にするなと仰っていたので、様子を見ていただけですわ。まさかここまで悪いとは…回復するのよね? 」 コーンに質問する。アリーンとアルフに圧倒されながら、しどろもどろに説明する。 「は、はい。お薬はお飲みになったので…初期の発作でしたら、早く回復するかと…」 「なら、いいわ。後は私がお傍にいるので、下がってちょうだい」 「は、はい、失礼します! 」 コーンは、薬を置くと部屋を出ていく。 「アルフ王子、あなたもですよ? 」 「アリーン様、私は父上の傍にいます。アリーン様こそ、ずっと傍に居たのでお疲れでしょう? 休んで下さい」 「アルフ王子! 私は陛下の妻ですよ? 私が後はやるわ! 下がりなさい! 」 「嫌ですね、正直あなたは信用出来ない! 」 「なんですって? 私が信用出来ないですって? 」 「はい、その通りです。最近のあなたの行動は不自然すぎる」 「アルフ王子、仮にも義母に対する言葉ではないですよ!慎みなさい。後は私がやるから下がりなさい! 」 珍しくイライラを隠せなくなったアリーンはアルフを追い出そうとする。 アルフが何か言い返そうとしようとした時、ルキア、ヨリム、ガフが入ってきた。 「アルフ様! 」 「ルキアも来てくれたのか? ヨリム、父上を見てくれ! 」 「ちょっと! 勝手に陛下に触らないで! 」 アリーンがヨリムの行動を制す。 「アリーン様、アデウス国では緊急の時は他の侍医が診てもよい事になっています。父上の診察が誤診では困るので、ヨリムにも診察してもらいます」 アルフの言葉にアリーンは詰まる。 「そ、それは分かっているわよ! 余り陛下を刺激しないで欲しいだけよ! 」 「もちろんですよ。ヨリム、どうだ? 」 「はい、脈がとても弱いです。薬で回復するかは…絶対大丈夫ですとは…私には言えません」 すいませんと頭を下げる。 「ヨリム、正直に答えてくれて助かるぞ」 アルフはアリーンの方へ向いて再度説明する。 「アリーン様、ヨリムの言葉を信じると父上は危ない状況かもしれません。そんな父上をあなたと2人だけでは、心配です。コーン、ヨリムを傍に置いとくから一緒に診るように 」 アルフの言葉にアリーンは反論したそうだったが、分が悪いと思ったのか従う事にした。 「分かりました。アルフ王子の言う通りにするわ。陛下に何かあったら直ぐに知らせるのよ! 」 最後の言葉はヨリムに言い寝室を出て行った。 「アルフ様、陛下は大丈夫なんですか? 」 ルキアが心配そうな顔でアルフに聞く。 「分からない。どうして突然倒れたのか…父上の食事は私達以上に厳重にチェックされている。毒を入れるのは不可能だろう。それに食事中に倒れた訳ではなく、政務中だと聞いた…そうなると、本当に発作を起こしたのか…」 アルフの言葉にルキアも考え込む。 (普通に考えるとおかしい。このタイミングで、王様が倒れるなんて…でも食事中ではない…なら考えられるのは…) 「兄上! 父上は大丈夫ですか? 」 「お兄様! 」 カオとサニー、チヒロが急いで入って来た。 「お父様! お願い、目を覚まして…」 サニーが国王の手を取り涙を流す。 カオも国王の顔色が悪いのを見て、厳しい顔をする。 「まだ分からない、意識が戻らないのだ。当分、コーンとヨリムに交代で診てもらうが…ヨリム、コーンが変な動きしなかいか、見張っててくれ」 「はい、大丈夫です! 他の侍医も常にいるようにしますので! 」 ヨリムの心強い言葉に安心してアルフは皆を促して外に出た。 「兄上、まさか母上が父上に何か飲ませたのですか? 」 「分からない。飲ませたなら、直ぐに症状が出ないのはおかしい。時間差の毒などあるのか? 」 ルキアとチヒロに聞いた。 「時間差…余り聞いた事はないですね。数十分とかならあるかもしれませんが、数時間後となると…別の原因があるかもしれません」 「そうね、私も聞かないわ」 「ガフ、父上が倒れる前に何をしていたか調べてくれ! 何か分かるかもしれない」 「はい、かしこまりました」

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