72 / 88

第72話

中に入ると一部屋に灯りが点っていた。 ルキアはかけより中に声をかける。 《アルフ様、アルフ様》 《ルキアか? 》 中でアルフが声を出し近づいてきた。 ルキアだと確かめたアルフは、柵の中から手を出しルキアの頬に触る。 《本物だ。幻ではないのだな? 》 《はい、私です。アルフ様、お風邪は引いていませんか? 》 ルキアの手を握り甲にキスをする、 《私は大丈夫だ。ここによく入れたな? 》 後ろのガフを見た。 《はい、サニー様が》 《サニーが? そうか霧を出したのだな? 》 《はい。入口に知り合いの兵士さんがいたので、入れてもらえました》 《そうか、みんなに感謝しなくちゃな。こうしてルキアに会えた》 アルフの言葉にルキアは涙をこぼす。 《アルフ様、すいません。全然役に立たなくて…アルフ様をこんな所に入れてしまいました…》 《ルキア、泣くな。私は大丈夫だ。お前は私の役に立っている。ルキアの事を思うだけでどこにいても頑張れる》 アルフはルキアの顔を両手で挟み、おでことおでこをつけた。 《ルキア、愛してるぞ》 《私も、愛しています…》 アルフは柵越しにルキアにキスをする。 《さっ、もう戻らないとまずいぞ。帰りなさい》 ガフが1枚の紙をアルフに渡した。 《アルフ様、この中に細かい事は書いております》 《分かった。早く行け、次は塀の外で会おう》 《はい》 ルキアとガフは急いで外に出る。 外はまだ霧に覆われて視界が分かりづらい。 さっきの兵士が相槌をうち、向こうに行くように促した。 ガフとルキアは、霧の中に飛び込みたちまち姿が見えなくなった。 サニーがいる所まで急いで戻る。 「サニー様、お待たせしました! 」 「戻ってきたのね! よかった、そろそろ限界だったのよ」 そう言うと全身の力を抜いて座り込んだ。 たちまち当たりは霧がはれ綺麗な星空が見える。 ルキアは空を眺め誓った。 (絶対、アルフ様と一緒に星空を見るんだ! 諦めないぞ! ) 「ルキア殿、戻りましょう! 」 ガフがサニーを抱き抱え声をかける。 「はい。サニー様、大丈夫ですか? 」 「大丈夫よ力が入らないだけ。ガフにお姫様抱っこされるなんて、カオに怒られるわね」 「冗談を言える元気がおありなら大丈夫でしょう」 「ガフ、酷いわ! 私、頑張ったのよ? 」 「分かってます。暴れると落ちますよ」 3人は急いで宮殿内に戻った。 __________________ ローレンに手紙を出してから数日たった時、カオはアリーンに呼ばれた。 ローレンが尋ねてきたのだ。 カオは直ぐにガフに知らせた。 「来ましたね」 カオの部屋にみんなが集まる。 「はい、思ったより早かったですね? 」 「アルフ様を思うと早い方が良いでしょう。カオ様、大丈夫ですか? 」 ガフが心配そうに声をかける。 「はい、大丈夫です。王女に殴られる覚悟で行きます」 「私とチヒロさんが後ろからついていきますので、安心して下さい」 「お願いします」 カオは深呼吸をして覚悟を決めた。アルフの事を考えると躊躇してる暇はない。 カオはアリーンの部屋に向かい扉をノックした。 「母上、カオです」 「入りなさい」 「失礼します」 中に入る時扉を大きく開けた。その横をルキアとチヒロが通り過ぎて、ソファの裏に回る。 カオは中に入りソファにローレンが座っているのを確認した。 「ローレン王女、お久しぶりです」 「カオ王子、ご招待ありがとうございます」 「カオ、ローレン王女が手紙を見て会いに来てくれたわ。ちゃんと相手するのよ」 「はい、わざわざ来て頂きありがとうございます。道中は大丈夫でしたか? 」 「はい、大丈夫です。お気遣いありがとうございます」 ローレンはカオに気にかけてもらって嬉しそうに頬を赤くした。 その様子にカオは胸が傷んだ。 これからこの子を傷つけてしまう。仕方ない事とはいえ辛かった。 アリーンは2人の様子に満足し席を立つ。 「カオ、私は会議に行くから、ローレン王女をよろしくね」 「母上…」 カオが言いづらそうに声をかける。 「どうしたの? 」 「出来ればローレン王女と2人だけでお話がしたいのですが…」 カオの言葉に驚く。自分の息子がこんな積極的な言葉を言うとは思わなかった。 「そ、そう。ローレン王女が大丈夫ならみんなを下がらせるわ」 アリーンはローレンを見た。 「私は、大丈夫です…」 恥ずかしそうに顔を下に向け答える。 以外に大胆な子ねと、心で思いながらも2人が乗り気なら話が早い。これを機会に婚約に持っていけば、シュリム国との貿易もスムーズに話がいく。 「そう、ならいいわ。皆、下がりなさい」 メイド達を下がらせ自分も部屋を出ていく。 アリーンの部屋で2人きりになりカオは息をはいた。 「ローレン王女、ありがとうございます」 カオは事前に手紙に大事な話があるから2人きりになりたい。それでも良ければ来て欲しい、と書いていた。 「私は、大丈夫です。何か大切なお話があったのですね? 」 「はい、大事な話です…」 カオは覚悟を決めて立ち上がった。 そしてローレンを見るとその前にひざまずき、土下座をした。 「カ、カオ王子? 」 突然のカオの土下座にローレンは驚いた。 「ど、どうされたんですか? どうか、立って下さい! 」 慌ててカオを立たせようとする。 カオは立たずに頭を床につけたままローレンに言った。 「ローレン王女、お願いです。今から見る事は誰にも言わないで下さい! 兄上の命がかかっています! 」

ともだちにシェアしよう!