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第7話 まずは状況を把握したい

もしかして、オレが変わればアールサス様もオレを毛嫌いしなくなるのかな。 もしかして、アールサス様と伯爵様が背負った借金が軽くなれば、そもそもアールサス様が望まない婚約を継続しなくて良くなるのかも知れない。 婚約を続けていくのなら、せっかくなら少しでも仲良くしたいし、時には笑った顔だって見てみたい。 もし、関係を良好にするのが難しいなら、せめて婚約からは自由にしてあげたい。 だって、アールサス様にはあのゲームの主人公と幸せになれる未来だってあるかも知れないんだから。 そう思った。 まぁ、もちろん出来れば、せっかく婚約してるんだから、アールサス様と仲良くなれればそれが一番いいんだけど。 その日は客人であるオレの体が冷え切っている事を心配したアールサス様が色々と気を遣ってくれている間に時間切れになってしまって、結局アールサス様は錬金術に使えるような時間は無くなってしまった。 申し訳ないな、と思いながらアールサス様の邸を後にしたオレは、一度お父様とじっくり話してみようと決意する。きっと何か突破口が開けるはずだから。 *** 「エルトライク伯の借金の額? お前はまた、えげつない事を真顔で聞くなぁ」 がっはっは、とマンガみたいな笑い方をしながらオレの頭をぐりぐりと撫でてくる偉丈夫が、オレの父親であるデューク・ボルド(34)だ。 オレとおんなじ真っ赤なバサバサの髪と、商人らしからぬ鍛え上げた筋肉がトレードマークの凄腕商人である。 「まぁ増えたり減ったりするからなんとも言えんが、現時点ではこの邸が五軒建つくらいはあるかねぇ」 「この邸が、五軒……!? え、増えることもあるの?」 「そりゃまぁ、領地が不作になれば借金は増えるし、なにか事業に手を出して大損を出せば跳ね上がるだろ」 「それ、返せるレベルなの……?」 絶望した。 オレがどんなに頑張ったって返せる額じゃなくない??? 「商才があれば返せない額じゃねぇが、あの人は人が良すぎるからなぁ」 そう言ってお父様は苦笑する。 「奥さんの病に効くって聞きゃあとんでもねぇ額だろうが怪しかろうが買いあさってたし、ぼられまくってた上に領地にめぼしい特産品もないときた。今はオレが破格の金利で貸してるし変な事にならんように目を光らせてるが、完済はなかなか難しいだろうなぁ」 「……マジか」 オレはがっくりと肩を落とした。 アールサス様のお父様……! 何やってんの……! 「なんでそんな人にお金貸してるんだよ……!」

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