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第12話 冒険に出よう!

「ありがとう」 「お礼はお館様に直接おっしゃった方が良いでしょう。軍資金は……」 「あ、大丈夫。オレ、お小遣い使ってないから持ってる」 この世界がオレが体験したあのゲームなら、序盤の装備が買えるくらいのお金は余裕で持っていたはずだ。ダッシュで部屋に戻って使う分程度のお小遣いをポッケに入れて戻ったオレは、既に外への扉の前に待機しているグレイグの所へと駆け寄っていく。 「ワート爺、行ってくる!」 「はい、行ってらっしゃいませ」 「ちゃんと軽傷程度で戻しますんで」 ワート爺に見送られ、元気よくオレ達は出発した。 オレの護衛かつ、冒険の色んな事を教えてくれる先生として雇われたらしいグレイグを見上げたら、ニコッと笑いかけられた。優しそうな兄ちゃんで良かった。 「よろしくお願いします!」 元気よく挨拶したのに、グレイグはなんだか苦笑している。 「あ、お互いに敬語ナシでいこーぜ。親父さんにもそう言われてるし、俺ら同い年だろ?」 「は!? え? グレイグも14歳? 二、三歳年上かと思ってた」 「うわ、俺そんな年上に見えんの? クラスは一緒になったことねぇけど、学園でも同学年なんだけど」 「ごめん、気づかなかった」 「ま、俺はお前と違って目立たねぇからな」 「オレ、目立つ?」 「ボルド商会の御曹司だしな。その派手な髪色でちっこいのがチョロチョロしてたらそりゃ目立つ」 「まだ成長期が来てないだけだから」 グレイグは確かに身長もオレより頭二つ分は高いし、髪色は地味目のダークブラウンだ。僕もそんな感じの髪色が良かった。悪目立ちしなくて済む。 「でも同い年なら気兼ねしなくていいから良かった。さっき説明は歩きながらって言ってたけど、グレイグはどんな感じで依頼受けたの?」 「依頼内容は主にお前が外出する際の護衛と、冒険者として一人前になるまでのサポートだな。学園でも一応陰ながら見守らせて貰うことになると思うけど」 「ひと通り教えてもらえれば、近場の採集とかは自分でできると思うけど……」 「お前ねぇ、仮にも伯爵家の婚約者になったんだろ? 誘拐とかの危険性もあるって弁えとけよ」 「……いや、ないでしょ……」 アールサス様の家、うちに援助して貰わなきゃヤバいくらい金ないのに。 「てな感じでお前にまったく危機感がないから、俺が雇われたんじゃね? 婚約の件がなくてもお前ん家はべらぼうに金持ちだから、普通に護衛はついてるぞ。……ほら、後ろのカールベーカリーのとこの小道、ひとり居るだろ? 俺は多分、もっとお前に近い場所で護るために付けられた護衛」 「……」 うわ、居るわー。知らなかった。 片や護衛がいるのも気づいてないお坊ちゃん、片やその護衛を頼まれるレベルの冒険者。格の違いにがっくり来る。アールサス様だって伯爵家の跡取りな上に錬金術だってできるんだ。 オレも、頑張らなきゃ。 「自分のダメさ加減がなんとなく分かった。頑張るから遠慮なく鍛えて」 「……任せとけ!」 グレイグが目一杯笑ってくれて、オレは俄然やる気になった。

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